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アルカス

2020-06-30 22:21 アルカス先生のブログ~恋愛・結婚ホラリー占星術:基礎編その5
6月

こんにちはアルカスです。いつも大変お世話になっております。皆様方におかれましては、当ブログへのご訪問誠にありがとうございます。今回もどうぞよろしくお願い致します。

 

今お客様の脳内を完全支配しているお悩みに、今天上に瞬く星々が答えるという、世にも不思議な占術それが

「ホラリー占星術」です。

 本連載では17世紀英国の天才占星術師・ウィリアム・リリーが1647年に発表した、ホラリー占星術含む古典占星術の指南書「クリスチャン・アストロロジー(Christian astrology 以下CAと略します)」より、おそらく占い師に寄せられる質問の7割を占めるであろう「恋愛・結婚」の相談に、ホラリー占星術でリリーはどのように答えたのか、あるいは答える為の技術の列記を訳し、以って私と皆様方の理解・研究の一助になれれば、というのが企画の趣旨でございます。

 またリリーの遺した古典占星術の技術が、現代に生きる私たちにも果たしてマッチするものなのか、ま、私は全く疑いの余地なく、使えると信じておりますが、この辺も具体的に説明させていただきたく、実際に私のもとに寄せられた恋愛・結婚関係のご質問チャートをご紹介させていただく回もご用意させていただく所存でございます。

 

 CA、恋愛質問の項は302ページ、第49章より始まります。以下、前回訳の続きとなります。P302の最終行からP303に続く文章です。

「しかし7室のロードがアセンダントのロードに、もしくは月が分離したばかりの惑星に、あるいは月が接近する惑星にアスペクトする。もしくは7室のロードがアセンダントにある、のいずれかで、質問対象者である男性もしくは女性の快諾を得、容易に願いは叶うでしょう。主にアスペクトがトライン・セクスタイル接近の場合で有効です。」

 7室のロードとは7室のカスプがあるサインのルーラー、支配星の事です。恋愛ホラリーにおいて、主に質問者が好きなお相手を表す星となります。7室のカスプが牡羊サインにあるのなら火星がお相手を表す星となるでしょう。双魚サインにあるのなら木星が大好きな相手を表す星となるでしょう。

アセンダントのロードとは1室のカスプがあるサインのルーラー、支配星の事です。主に質問者を表す星となります。1室のカスプがあるサインが双子ならば水星が質問者を表す星となります。水瓶サインに1室のカスプがあるのなら土星が質問者の表示星です。

7室のロードがアセンダントのロード、つまり1室のロードに接近アスペクトする。お相手を表す星が質問者の星にアスペクトを作るべく近づいている。ここが重要なポイントです。例えば木星が質問者を表す星、水星がお相手を表す星だったとしましょう。水星は蟹サイン15度を順行中、対する木星は双魚サイン20度にあったとします。水星は木星とトラインのアスペクトを作るべく、接近します。順行している場合、木星より水星の方が明らかに動きが速いからです。

水星は黄道上を1日平均59分8秒移動します。1度=60分ですので、ほぼ1日1度前進すると見ていいでしょう。

木星は黄道上を1日平均4分59秒移動します。普通は1日5分くらいの移動で、速い時は10分12分動くこともありますが、14分以上はない、とリリーはCAの中で述べています。木星が1度進むのに平均速度だと12日必要だという計算になります。

2星の速度差は歴然です。アスペクトは2星の内、動きのより速い惑星がより遅い惑星に接近し、その角度を作っていくのが基本です。

よって例に挙げた7室のロード水星は平均スピードで順行移動していると仮定するなら、木星との距離差5度ですので、ほぼ5日で木星とのトライン・アスペクトを完成させます。

これを水星が木星に接近アスペクトしている、アスペクトを作るべく近づいている、もしくはした、と捉えます。

大体お分かりいただけますでしょうか…毎度説明が上達しなくてすみません。

 

 7室のロードが1室のロードにアスペクトをしにいく。作っていく。この場合、結構すんなりいきますよ~という解釈は古典占星術の特徴の一つと言えると思います。つまりどちらの星がどちらの星に接近アスペクトするかで、トントン拍子でうまくいくか、自分が相当頑張ってアプローチしなきゃダメだよ、になるかが分かれます、という考え方ですね。

お相手を表す星が質問者を表す星に接近アスペクトしていく=相手にその意思はあるよ、だからうまくいきそう。

質問者を表す星がお相手を表す星に接近アスペクトしていく=自分から積極的にアピールしないとダメ。相手からは来ませんよ。

 7室のロードが1室のロードに近づくか、1室のロードが7室のロードに近づくかで、同じアスペクトでもだいぶ違ってくる、これが古典の見方です。

誰でもまあ、特に若い内は恥じらいもあるので、相手から言ってきてくれないかなあ~とか横着なシチュエイションを期待するものです。しかしまあそれに近い状況と言いますか、自然な寄り添いが起こってきそうなのが、7室のロードの1室ロードへの接近アスペクトの暗示する所のようです。

 逆に1室のロードから7室のロードへの接近アスペクトは、あまり質問者に興味なさげな相手を振り向かせる為の努力が必要だと、星が発破かけているような暗示です。

 

続いて7室のロードが、月が直前分離した惑星に接近アスペクト、あるいは月が次に接近する惑星への接近アスペクト、もまた、1室のロードへの接近と同様にうまくいきますよ、とする記述についてなのですが。

 私はリリーが

CA P124 17行目~20行目

「質問者を象徴する星として、月が直前分離した惑星を拾う識者もいますが、私はまーったく認めません。もしくは今までの実践で当たってると思えた事がありません」

 と書いておきながら

「結婚についての質問が出されたならば、質問者を表すものとしてアセンダントとそのロード、月、月が直前アスペクト分離した惑星をチェックします」

と結婚の項のとっ始めにこんな事を書いていて、よく分からないので見なかった事にしようと、本連載その3で書かせていただきました。

 

で、現在もあまりよく分かりません。月が直前分離した惑星を質問者の表示星として考慮の対象にしたことが、ほぼ一度もないんですよねえ。

ですので7室のロードと月が直前分離した惑星、との関係性について意識したことが無いので、何とも言いようがないのです。

月が直前分離した惑星がたまたま1室のロードだったりしたなら、それはそれでいいんでしょうね。それも兼ねての1室のロードということで、ロードに厚みを持たせた感が出てきます。

しかし全く別の星が、月分離惑星を担当してしまった場合、これもまた質問者の星となりうるのか…今後少し気にして見てみようとは思っております。

これはまだしも、月が接近する惑星と7室のロードとの間にも、7室のロード側からアスペクト接近しているのなら、この組み合わせもうまくいきそうです、って月が接近する惑星は7室側の表示、つまりお相手を表す星となるのでは…と、ちょっと突っ込んでしまいます。

「そして7室と7室のロード、月が接近アスペクトする惑星を、星に尋ねたいお相手、彼氏彼女の象徴と取ります」

んー、7室のロードと月が接近する惑星との間にアスペクトがあるなら、これもすんなりだ、と。

これは過去の占星術師の誰かが書いていたことを元ネタにしているのか、それともリリー先生の経験則なのか、調べてみる必要がありそうです。

 

最後に「7室のロードがアセンダントにある」の一節ですが、7室のロードはお相手の表示星、一方アセンダント、1室は質問者の表示室となります。

よってお相手の表示星が質問者の部屋に入っているのなら、お相手は質問者の事を憎からず思っている暗示として取れますよ、とリリーさんは述べているのです。

私は、この件に関し、ずっと悩んできました。

 

確か1995年か96年に、私は初めてパソコンという物を買い、インターネットに触れ、あるホームページからの情報を得て、Regulusという出版社(なのかな?)から出ているChristian astrologyの復刻本を取り寄せました。

 全部訳すのに3年かかりました。わけわからなかったからです。そもそもビートルズは好きですが英語は苦手な私に、17世紀に出た洋書を訳する能力などあろうはずもありません。長々と分かりにくい文章。回りくどく、英文の合間にラテン語が出てくるし、同じ事を言うのに言葉をどんどん変えるし、whichが至る所に出てくるし、sだかfだかlだか分からん当時の文字とかこういうのをモダン・イングリッシュ?シェークスピアズ・イングリッシュて言うんですか、その時初めて知りました。現在のように優秀な翻訳ソフトも英辞郎も無かった頃ですし、リーダーズとジーニアスの辞書をひたすら引く日々でした。

1文訳すのに1日中考える事もありました。でもなぜかやめる気にはならなかったんですよね。

 

ま、それはともかくとして、この7室のロードが1室に入っているのなら、相手はあなたの事が好きですよ、と言い切ってしまっていいのだろうか。すごく悩む時期がありました。

私は占い師の仕事を始め、お客様から恋愛の質問を承り、チャートにその暗示が出てきた時、つまり7室のロードが1室にあった時、自信満々にその恋は叶いますよと、言い辛い場合もあったのですね。

占い師ならば占いの結果を粛々伝えるべきなんです。

良い結果ならば猶更、そのままお伝えすべきでしょう。でもこのリリー・ルールに躊躇ってしまう自分がいたんです。

つまり客観的な部分でですね。

 

 

 

次回に続きます。

アルカス