こんにちはアルカスです。いつも大変お世話になっております。いつも当ブログへのご訪問、誠にありがとうございます。今回もどうぞよろしくお願い致します。
このブログを書いている人、私アルカスは電話占いおよび対面占いの占い師です。
偶にタロットを援用する場合もありますが、ほぼほぼ西洋占星術のみで23年間、お客様のお悩みに答えさせていただいて参りました。
現在、名古屋イーマジョという、とても綺麗で感じの良いお店に常駐しておりますので、皆様のお越しをお待ちしております。
さてこのブログは西洋占星術、中でも私が情熱を傾け、取り組んでおります
ホラリー占星術
という占星術の1ジャンルにつきまして、あーでもないこーでもないと、ご紹介ならびご説明を皆様にさせていただいている連載記事となっております。
具体的には17世紀英国に突如現れた天才占星術師ウィリアム・リリー(William Lilly )の著書「クリスチャン・アストロロジー(Christian astrology, 以下CAと略します)」、1647年に出版されたこの本は西洋占星術の教科書的な内容で、特にホラリー占星術の項は総832ページの内の357ページを占め、ネイタル占星術(※個人の生年月日時と生まれた場所からチャートを作成し、その人の人生全般について読み解こうとする占星術)について書かれた345ページ分とほぼ同数の容量を費やし、丁寧かつ詳細な説明が施されています。
ではホラリー占星術とは何でしょう?
それはお客様の具体的なご質問に答える占星術です。
例えば
・飼っていた犬が逃げた。どこに逃げたのか。見つけられるだろうか
・彼(彼女)は私の事をどう思っていますか
・メルカリに出している商品は売れますか。もう少し値段を下げた方が良いだろうか
・今の会社に居続ける事が自分にとって正しいのか
等の極めて現実的な、日々の生活の中で起きうる諸々の問題や選択について、占星術でアドバイスをする為の技法です。
お客様のご質問を承った瞬間の星の配置図、現場のトランジットチャート一枚で答える占星術です。
ピタッと当てられる場合もあります。まあまあな場合もあります。
凄く難しい面を含む技法ですが、拘って、どういったジャンルのご質問においても平均8割5分の的中を目指しています。
本ブログは前述しましたCA、ホラリーの項の中で、特に恋愛・結婚について書かれたP302から319までの18ページ弱を翻訳し、私なりの解釈や考察、というほどのものでもないですが、思う所をつらつら書き連ねつつ、と考え、現在連載は30まで進んでいます。
遅い?確かに(笑)ここからピッチを上げていこうと思います。
ホラリー占星術において、とても重要な要素だと言われてはいますが、意外と実践の場ではあまり気にされない先生方も多いのではと思われるポイントがあります。
それは「判断前の考慮(Considerations before judgement)」です。
判断前の考慮とは何でしょう。CA P121 21行目。リリーの説明をご覧いただきます。
「ホラリーについての研究を書き遺している古代の学者達は、出したチャートを読もうとする前に、そのチャートがラディカルで判断に足るものかどうかを考慮するよう、占星術師に注意を促しました」
お客様からご質問を頂いて出したホラリーチャートが、はたしてそのまま解読していいものなのかどうか、チャートはラディカルなのかをまず調べなくてはいけません、と昔の人達は言っていたそうです。
ラディカル(Radical)って何でしょうか?1819年、ジェームス・ウィルソン(James wilson)という人が出した「占星術辞典(The dictionary of astrology」によりますと
「ラディカルとはレイディクス(Radix)に属する、レイディックス的なもの、という意味。ホラリーの質問で使われる用語で、質問がぴったり合っていて、疑うところの無いもの、を意味します。これはホラリーの質問では、質問者の本当の出生図が得られる時には、決してホラリー・チャートを作ってはならないと多くの人が考えており、質問者のネイタルチャートを意味するレイディックス(Radix)から来ています。しかし出生時間がわからない場合、質問が提出された時間に出されたチャートは、天体の感応の力によって、質問者の生年月日時のチャートそのものとなるのです。」
…おわかりいただけますでしょうか。つまりラディカルとはレイディクスぽいものである。レイデックスとはネイタルチャートの事である、なのでラディカルとはネイタルチャートっぽいもの、という意味である、ということですね。
で、ここからは私の解釈です。本当は相談者がネイタルチャートを持っているのなら、そのチャートで諸々判断すべきなんだと。しかしそれが無い場合、例えば生まれた時間などさっぱり分からない、しかし占星術師に相談したい問題があるという場合は、出したホラリーチャートがラディカルと認められた場合、そのチャートを相談者のネイタルチャート、に準ずるものと見做して鑑定できますと、そういう意味ではないかと思われます。
この辞書を書いたジェームス・ウィルソンはホラリー占星術の研究者なのか、単にホラリーが物凄く好きなのかわかりませんが、この辞書(Astrology classics刊)、全406ページ中『Horary question』の説明はP161~269,7行目まで実に108ページと4分の1以上を占め、ホラリーへの関心の高さをこれでもかと示しています。ラディカルの説明だけでも1ページ使ってますので、相当好きなんじゃないかと思われます(因みにジェームズ・R・ルイスの辞書では「ホラリー占星術」は4ページほど。「ラディカル」は3行です。これくらいが大体普通です)。
ではどのようなホラリー・チャートが「質問者のネイタルチャートっぽいもの=ラディカル」と認められるのでしょう。
CAに戻り、P121の続きを訳します。
「ラディカルと認められたホラリーチャート、判断するに相応しいチャートとは、時間のロードとアセンダントのロードもしくは1ハウスのロードが同じトリプリシティであるか、同じ惑星であるか、同じ性質を保持している場合です」
チャート作成時のアワー・ルーラーを調べなくてはいけない、という事ですね。なるほど。
「例を挙げましょう。時間のロードが火星だったとします。上昇サインは蠍、蟹、双魚のいずれかだったとしましょう。この質問はラディカルです。火星は時間のロードで水のトリプリシティのロードであり、アセンダントのサインも水のトリプリシティだからです。」
あれ?時間のロードと1ハウスのロードの話じゃなかったっけ?時間のロードとアセンダントのサインとのトリプリシティ繋がりでもいいんでしょうか…
「さらに時間のロードが火星で、アセンダントのサインが牡羊だった場合、質問はラディカルです。なぜなら時間のロードとアセンダントのロードは共に火星だからです。」
これは時間のロードとアセンダントのロード一致でラディカルですよ、ということですね。
「火星が時間のロードで獅子サイン上昇の場合、獅子サインのロード太陽は火星と同じ火のトリプリシティの一つですが、判断して良い質問です。なぜならアセンダントのロード太陽と時間のロード火星は共に同じ性質であるホット(熱)でドライ(乾)だからです。」
時間のロードとアセンダントのロードが性質一致の場合もラディカルと認められます。
リリーは時間のロードとアセンダントのロード、もしくはアセンダントサインとの繋がりの必要性を、古代の占星術師からの教えとして書き遺しています。
このラディカル認定問題については、リリーの宿敵ジョン・ガッドブリー(John gadbury)も自身の著書「The doctrine of horary questions」の中でしっかり説明しています。
「占星術師は、ホラリーチャートを解読しようとする前に、まずそれが妥当かどうか、判断するのに適しているかどうかを考えるべきです。依頼者の中には占星術の技術を貶めようとする意図を持って、不適切な質問を投げかけてくる人も少なくありません。そうすることで彼らは自分自身の恥を晒すことにしかならないのですが。
また占星術師は、自分の望みを正しく伝える方法を知らない人に出会うことがあります。このような質問がなされた場合(質問自体は善意でされたのかもしれませんが)、それは解決に適していないことの証となります。このような場合、占星術師は別の機会まで判断を先延ばしにすべきです。
さて、一方の愚かさ、他方の不適切さ、質問の未熟さを発見するために、次の規則と格言に従うとよいでしょう。
1. アセンダントサイン、アセンダント在惑星が、質問者の人物像を正確に描写している場合、そのチャートはまさに質問者が口に出した質問内容をきっちり表していると見做してよく、判断に適しているチャートです。
2. アセンダントサインがサインの始まりの度数上昇となっている場合、または最も終わりの度数上昇となっている場合、判断を下すのは危険です。その質問は他の人が考えたものであるか、またはその内容が嘘っぽいからです。
よって答えるのに適していません。」
以下ラディカルであるかどうかの見立ては8項目まで続きますが、この辺にしておきましょう。
リリーはまず最初にアセンダントのロードと時間のロードの関係性について書いていますが、ガッドブリーはアセンダント、1ハウスのサインと在惑星が表す質問者の人物像と、目の前に座っている顧客の外見、雰囲気がぴったりマッチしているかを見なさいと言っています。合っていたらそのチャートはラディカルだ、まるっきりだったらちょっと身構える、って感じでしょうか。
2はリリーもガッドブリーも同じポイントに注目しています。但し説明が若干違います。CA 122ページのリリーの説明は、
「ホラリーチャートのアセンダントの度数が0度、1度、2度だった場合、特にショート・アセンションサイン山羊、水瓶、双魚、牡羊、牡牛、双子のいずれかだった場合、質問者がとても若いか、外見や体のほくろ、傷跡の位置などが上昇サインの性質とぴったり合っている場合を除き、チャートを読まない方が賢明かもしれません。」
「同じくアセンダントの度数が27度、28度、29度だった場合、質問者がこの度数と同じ年齢でない限り、あるいは質問を受け、確実な時間にチャートを立てていない限り、読んでも大丈夫とはとても言えません。顧客はすぐに席を立つか、チャートを立てようとしたまさにその時、逃げてしまうからです」
サインの後半度数で、客が逃げちまうというのはリリーの経験則なのでしょうか?
いずれにしてもこの「判断前の考慮」は二人ともこの後も色々出てきて大変興味深いのですが、この件で彼らに大きな影響を与えたのは13世紀イタリアの占星術師グイド・ボナッティ(Guido Bonatti )です。
この判断前の考慮はどうもこのボナッティのオリジナルらしく、ボナッティの著書をリリーとその弟子ヘンリー・コーレイ(Henry Coley)が英語に翻訳した「Anima astrologiae; or, A guide for astrologers」。私はJust us版のを所持しておりますが、 この本の36ページ、143番目の考慮に
「あなたが真の判断の方法を理解し、どのような方法によってある結果を得ることができるのか、あなたはそれを検討し、正しく考察し、星が示すものの真実を発見することができるのであろうか?そしてここに考慮し、糧とすべき14のポイントがある。」との前書きの後、14のポイントが載っていますが、1つ目に
「1. 質問者が本当に心から問いかけたかどうか? もしアセンダントのロードと時間のロードが同じであるか、それらの象徴星が配置されているサインが同じトリプリシティであるか、外見(complection=complexion 顔色、肌艶、外見などの意)が一致しているのであれば、質問は真剣なものとなります。しかしそうでなければ、アセンダント(の度数)がいずれかのサインの最後の方である場合、質問はラディカルなものではありません。」
とありますので、おそらく自分達より400年以上前に活動していたボナッティが著したこの本より、リリーやガッドブリーは学んだのではないかと思われます。
で、この判断前の考慮につきまして、ざざっと1回で済むかと思いきや、やはり文量的にちょっと難しいと感じてきましたので、この続きは次回という事にさせていただきます。次回もお付き合いよろしくお願い致します。
本ブログのメインテーマ、CA結婚の項翻訳はP308の28行目まで、前回進みました。次は29行目です。
「家の主導権はどちらが握りますか。アセンダントのロードと月で観ます。もし月かアセンダントのロードがアングルハウスにあり、月かアセンダントのロードがあるサインのロードが重い、もしくは動きが遅い惑星であるのなら、質問者が家の主人です。月かアセンダントのロードが弱く、ディグニティ的にも沈んでいるか、ケーデントハウスにあるのなら、質問者は召使です」
のっけから中々きっつい質問ですが、答える技法があるのですね。在サインのロードが重いというのは、7惑星の中でも動きが最もゆっくりしている土星、あるいは木星かのどちらかではないかと思われます。主人か召使か…うーむなかなか現場では聞かない質問ではありますが、とても興味深いです。
「奥さんはお金持ちでしょうか。男性側からの質問なら8ハウスのロードか8ハウス在惑星を観ましょう。これらが強ければ、もしくは8ハウスのロードに月が吉角接近なら、奥さんは裕福です(真逆な暗示だと貧乏です)。女性側からの質問(つまり夫はお金持ちか)でも同様に鑑定します(理由は同じです)。」
そうですね。私のブログその22でも記しましたが、中世英国において結婚する上で女性側からの持参金はとても大事な要素だったようです。ひょっとしたら今の日本でも結納とか持参金とかそういったことを気にする人がいるかもしれません。
また女性の方も、男性側の収入は当然気になるところだったでしょうし、寡婦産(※結婚により妻側が夫の不動産の約3分の1を取得する権利)がいかほど入るかも含め、重要なポイントだったと思います。こういった質問は当然両者から出てくる所でしょう。
あ、あのそれから、このブログをずっとご覧の皆さんはお分かりの事と思いますが、一応確認をさせてください。
このリリーの記述はネイタルチャートを読む為のものではありません。あくまでホラリー占星術です。質問して出されるチャートを読むものです。ホラリーチャートにこのような暗示が出ていたら、こうなりますというお話です。私のホロスコープに同じようなのが出てるから、相手は貧乏とかそういう話じゃないです。これはお間違えないように宜しくお願い致します。
「結婚は真っ当なものでしょうか。男性もしくは女性の象徴星が土星もしくは火星と凶角あるいはコンジャンクションしており、土星と火星が質問の象徴星でない場合、あるいは男性か女性の象徴星がドラゴンテイル(サウスノード)とコンジャンクションしているのなら、その結婚は周囲に認められるものではありません。以前からどちらかの側に諍いや申し立て等のトラブルがあったようです」
結婚になんらかの問題が生じてくるか、周囲に祝福される結婚となるかどうかをホラリーチャートで読む手法です。やはり3大凶星土星・火星・ドラゴンテイルが1ハウスのロードか7ハウスのロードとコンジャンクションもしくはオポジション、クォドレイト(スクエア)なら、ちょっと問題がどちらかの側に発生していた、もしくはいる事を暗示しているようです。
「結婚後、2人は仲良くやって行けるでしょうか。もしホラリーチャートで結婚すると出ているのなら、アセンダントのロードと7ハウスのロードが互いにトラインかセクスタイルしているのなら、何かとうまくやっていけるでしょう。月が在サインのロードもしくはイグザルテーションルーラーと吉角形成、同上です。7ハウスのロードが1ハウスのロードよりも重い惑星となっており、アングルのいずれかにあるのなら、奥さんの側が主人となるか、そうなろうとするでしょう。もしアセンダントのロードも7ハウスのロードもアングルハウスに無いのなら、どちらの惑星がより重いかだけを見て、男性側の惑星の方がより重ければ、男性側が主人となるでしょう。太陽が妨げられているのなら、男性にとって最悪です。金星が損なわれているのなら、女性にとって最悪です。もし月が損なわれているか、弱い位置にあるのなら、両者にとって不幸です」
結婚後の生活は二人にとって幸せで仲良くやっていけそうかを、ホラリーで観る手法です。アセンダントのロード(質問者であり当事者)と7ハウスのロード(パートナー)が吉角、現代占星術でいうところのソフトアスペクトを形成しているのなら、2人は穏やかで楽しくやっていけるでしょうとリリーは言っています。
「7ハウスのロードが1ハウスのロードよりも重い惑星になっており」。重い惑星という表現は最初の方でも出ましたが、この辺の独特な古典占星術界隈の表現がいまいちピンとこない方の為に、再度ご説明させていただきます。
例えばホラリーチャートで、アセンダントサインが蟹、7ハウスのサインが山羊と出たとしましょう。蟹サインのルーラーは月、山羊サインのルーラーは土星ですので、質問者を表す星は月、お相手を表す星は土星となります。で、重い惑星とはという話なのですが、簡単に申し上げますと「重い」=「動きが遅い」という意味なのです。
つまり月は黄道サインを1周するのにほぼ1か月未満、27日前後で駆け抜けます。対して土星は1周するのに大体29年と半年くらいかかります。月は軽く、速い。のに対し土星は重く、遅い、と占星術では考えますので、土星はより重い星、となり、結婚生活は土星側、お相手の側が主人として主導権を握る、という事になる訳です。
ありがとうございました。来月またお会いしましょう。
アルカス