こんにちはアルカスです。いつも大変お世話になっております。今回も当ブログ記事へのご訪問をいただきまして、本当にありがとうございます。
22回に入りました。28年前ご実家引っ越しの最中に忽然と消えてしまった、ご質問者が大事にしていた対の雛人形とサイクリングユッコちゃんを入れた箱の行方を西洋占星術によって探ろうという企画の連載も、終盤に差し掛かったと見てよろしいかと思います。
私が頼りとしますのは1647年イギリスで出版されました西洋占星術の教科書「クリスチャン・アストロロジー(Christian astrology 以下CAと略します)」。この時代に現れた天才占星術師ウィリアム・リリー執筆の本書に載っている、失くし物を探す手法、失くし物は盗まれたのか単に置き忘れたままなのか、もし第三者による盗難に遭ったのなら失くし物はどこへ持ち去られたのか、犯人はどのような人物か等々、星の配置によって語られている暗示と、この連載の中で私が出したチャートにおける星の配置が合致している部分のみ、ご紹介してまいりました。
それでは今回もチャート図をご覧いただきながら、CAの証明に符合する部分をピックアップしてまいります。
「私のお人形さん達は誰が何処に持って行ってしまったのでしょう」2018.5.21 17:08
CAはP355 3行目より、盗まれた物が取り戻せるか、回収は可能かについての暗示解説に入っていきます。12行目までの以下の文章をご覧ください。
<回収の証明>
1. 1室に金星もしくは2室のロードがある。
2. 2室在木星順行。
3. 1室に2室のレディ金星在。
4. 10室に月があり、2室在惑星にトライン。
5. 月が2室にあり、2室のロードにトライン。
6. 2室に月があり、12室の太陽とクォドレイト(スクエア)。
7. アセンダントのロードが2室在。
8. 太陽と月がトライン。
9. 太陽と月が2室カスプにトライン。
10. 2室のロードが1もしくは4室在。
本書にはこのように番号付けで書かれている訳ではないのですが、こうした方が分かりやすいかなと思って書かせていただきました。これら10の暗示の内1つでも当てはまるものがあれば、盗まれた物を取り戻せる可能性があるとリリーは書き記しています。
1と10は「2室のロードが1室にある」の部分が被っております。そして本チャートで認められるのもこの部分のみです。つまり本チャートにおける2室のロード木星は蠍16.55度にあり、1室に入っておりますので、私たちが探しているお人形さん達は取り戻せるとする暗示があると見なされます。
見なされるんですが、本チャートの木星、ちょっと弱いんですね。。ディグニティ無しのペレグリンですし、逆行していますし…逆行は同年7月11日まで続きますので、5月21日ではまだ絶賛逆行中で動きが緩む感じでもないので…。
2室のロード木星がこの状態で機能するのかどうか。ちょっと保留とさせていただいて次参ります。
13行目からの項をご覧ください。
<取り戻せるのなら>
「取り戻せるかどうか知りたければ:月のタームのロードを見ましょう。それが回収したい盗まれた物の象徴です。」
本チャートにおける月は獅子19.33度。月のタームは何と木星。2室のロード木星が月のタームのロードにもなっている形です。
「月のタームのロードと月のハウスのロードが動きの上でも数の上でも増している場合、そして凶星から逃れている場合、盗品はほぼ完全な形で無事返還されるでしょう。」
月のタームのロードは木星。月のハウスのロードは月が獅子サイン在ですので太陽となります。「動きの上でも数の上でも」とは簡単に言うと順行で尚且つ動きのスピードが速いという意味です。
ウィリアム・リリーはCAの中で、7惑星の状態の強弱をクリアーに把握するため、ポイント制を採用しました。まず「強化されている」と見做すプラスポイントをエッセンシャル・ディグニティとアクシデンタル・ディグニティに分けました。
エッセンシャル・ディグニティとは、惑星の黄道の位置から導き出されるもので、
・ドミザイル・イグザルテーション・トリプリシティ・ターム・フェイス
この5つがポジティブなディグニティとして、定まった位置にある惑星に対しそれぞれに決まったポイントが与えられます。
アクシデンタル・ディグニティとは上記以外の、惑星を強める要素、これも種々様々なものがありますが、これら一つ一つにポイントを付与したものです。
順行もそのうちの一つです。惑星が黄道上を0度、1度、2度、3度…と順番に「数を増す方向に」進んでいる場合、これを「順行」と呼びます。こうなっている星はそれだけでプラスポイントが与えられます。
逆に3度、2度、1度、0度と「数が減る方向に」移動している惑星は「逆行」していると呼びます。この状態になっている星は弱まっていると見做され、マイナスポイントを付与されます。
太陽と月は永遠に順行し続け、逆行をしない星ですので順行のプラスポイントを得る権利を有しません。
さらに順行中の惑星の移動スピードもアクシデンタル・ディグニティの検討材料となります。惑星は黄道を移動する平均速度をそれぞれ持っており、その平均値より早く動いている場合「Swift」が宣言され、プラスポイントが与えられます。平均値を下回るゆっくりした動きをしている惑星には「Slow」が宣言され、マイナスポイントの対象となります。
順行で尚且つ、平均スピードを上回る速さで動いているSwift惑星はとても状態が良いと判断され、それに見合う恩恵をもたらすと考えます。
本チャートにおいて月のタームのロード・木星は逆行しているので「動きの上でも数の上でも」減じていると見なされ、弱まっていると考えられます。
月のハウスのロード・太陽は平均移動値を上回るスピードで動いているか否かのみが判断基準となりますが、CAによりますと太陽の1日の平均移動は59分08秒となっています。2018年5月21日の太陽は0時ちょうどの位置が牡牛29.32度。22日の0時に双子0.30度となりますので、1日の移動距離は58分ちょうどとなり、平均を1分08秒下回ります。
よって本チャートの太陽は移動スピードが遅い「Slow」と見做されますので「動きの上で」足りていないと考えられます。
ここでの木星と太陽はリリーが与えた基準に達していない為、この暗示は当てはまらない、完全な形で返還される希望はない、ということになります。
書いている事が難しくて、分からなかったらごめんなさい。
続きは次回としましょう。
アルカス