こんにちはアルカスです。いつも大変お世話になっております。今回も当ブログへのご訪問をいただき、誠にありがとうございます。
連載がゆっくり気味ですみません。年末に向け少しピッチを上げていきます。今回で23回目になります、私がお客様よりご質問をいただき立てさせていただいた一枚のホラリーチャートを、17世紀の偉大な西洋占星術師ウィリアム・リリーの名著であり、古典占星術の教科書として今も世界中の占星術師達に読まれている「クリスチャン・アストロロジー(以下CAと略します)」に書かれているいくつもの証明暗示に照らし合わせ、当てはまっている箇所を選び出しご紹介することにより、ご質問への正着に出来る限り近づこうというこの企画。CAのネタが尽きるまで書き進める所存ですので、よろしくお付き合いの程お願い申し上げます。
ご質問は
「28年前の引っ越し最中、紛失してしまったひな人形2体とサイクリングユッコちゃんを入れた箱は、誰が何処に持って行ってしまったのでしょう」
ホラリーチャート図は以下の通りです。
CAは355ページまで読み進めてきました。お人形さんとユッコちゃんを入れた箱は取り戻せるか、についての証明を前回に引き続き、ご紹介してまいります。
P355 21行目
「時間のロードも月のタームのロードと同じく、上記証明が当てはめられます。」
盗まれた物が戻ってくるかどうかは、月のタームのロードの状態より判断します。月のタームのロードとは、ま一応ここでは月のタームということでお話しさせていただきますが、全ての惑星にタームのロードはあります。
タームはエッセンシャル・ディグニティの一つです。1つの黄道サインを5つに区切り、太陽と月を除く5惑星がタームと呼ばれるエリアというか区画をそれぞれ持っています。リリーはCAの102ページで自身のタームに惑星が入っているのなら、例えば土星が土星のターム内に入っている場合、この土星に2ディグニティを与えるとしています。
さらっと流して書いてしまいましたが、太陽と月は自らのタームエリアをどこにも持っていません。この区画を黄道12サイン全てに保持しているのは他の5惑星、水星、金星、火星、木星、土星です。
惑星が自身のターム内にあるのなら、その惑星によって表される人が金持ちになるとか出世するとかというよりは、その惑星の特質や外見的特徴が更にはっきり出ますよと、リリーは説明しています。土星が土星のターム内に入っているのなら、その土星によって表される人物はより土星っぽさ、土星らしさが増す、という事のようです。
これはCAではなく他の本に書いてありましたが、もし土星が金星のターム内にあるのなら、土星独特の雰囲気や性格はだいぶ薄められるだろう、金星が火星のターム内にあるのなら、その穏やかさは後退し代わりにより行動的になるだろう、だそうです。
どうやら惑星のキャラクターに少なからぬ影響を及ぼす、味付けをするディグニティのようです。
余談になりました。本チャートの月は獅子サイン19.33度にあり、木星タームのエリアに入っていますので、月のタームのロードは木星となります。この木星が順行しており、おまけに移動速度も速い、のであれば、更に凶星との関わりが無ければ、盗まれた品物は取り戻せるとのCA証明を前回ご紹介させていただきました。
残念ながらこの木星は凶星との厳しい繋がりはないものの、逆行しているので取り戻せる証明の任には適していない模様です。
では月のタームのロードと同等の影響力を持つものとして挙げられた「時間のロード」はどうでしょう。
本チャートにおける時間のロードは火星です。
火星は水瓶サイン1.56度にあり、順行はしておりますが動きは標準よりも遅い歩みとなっています。この火星はその後どうなるのかと言うと、約1か月後の6月27日5時21分18秒に水瓶9.13度の地点で停止し、逆行モードに入ります。
よって動きの上では減衰であり、一応前進はしていますがスローなので、この火星からも色よい返事はもらえない様子です。
次参りましょう。355ページ23行目からの証明をご覧ください。
「1.アセンダントのロードが月のターム星もしくは2室のロードにアスペクトする場合。
2.あるいは逆に2星(つまり月のターム星と2室のロード)が両方もしくはどちらか一方だけでもアセンダントのロードに接近している。そして月が2星もしくは月のサインのロードに接近。
3.太陽が在サインのロードに接近。そして月が欠けるモードに入っている場合。
4.アセンダントのロード、月のタームのロード、太陽の在サインのロードが太陽に接近。
これらの状態は全て盗まれた物が見つかることを暗示しています。これらの惑星がアングルハウスかサクシーデントハウスにあるなら特にです。」
上記4つの暗示は原書では番号は振られておりません。がこうした方が圧倒的に分かりやすいので、このようにさせていただきました。早速本チャートに当てはめてみましょう。
本チャートにおけるアセンダントのロードは火星。
月のターム星は木星。2室のロードはこれまた木星。
月のサインのロードは太陽。
太陽の在サインのルーラーは水星。
以上4つの星に1から4までの項目の絡みがあるのかと言いますと、可能性があるのは4のこの暗示のみ。
4.アセンダントのロード、月のタームのロード、太陽の在サインのロードが太陽に接近。
火星、木星、水星の内、アセンダントのロード・火星が太陽とのトライン・アスペクトを作ろうとしていますが、自分からではなく太陽が火星に接近する形ですので、これは当てはまらない可能性があります。
火星と木星は木星の逆行により、クォドレイト(スクエア)・アスペクトを作ろうとしますが、途中で火星は逆行し、木星は順行に戻りますので、この2星が正確な角度を作ることはありません。
太陽の在サイン双子のロード水星は、牡牛13.04度から次サインの太陽に接近し、同年6月6日10時42分9秒に双子サイン15.19度で重なりますが、太陽とのコンジャンクション、つまりコンバストを接近アスペクトと呼んで良いものか。有意なものと受け取って良いものか、ちょっとリリー先生に伺ってみたいところではあります。確かに太陽の在サインルーラーとのコンジャンクションはコンバストにはならない、という説もありますが…太陽の光に隠されるというコンバストの意味合いなら、見つかるというイメージがいまいち浮かばない気もしますね。
今回の最後はP355 33行目~356 1行目の文章です。
「月のタームのロード、月のハウスのロード、もしくは2室のロードがアセンダントのロードに接近しているのなら、持ち主は失った物を取り戻すでしょう。」
月のハウスのロード・太陽はアセンダントのロード・火星に間違いなくトライン・アスペクトしておりますので、これはバッチリはまっています。
アスペクトに関する問題はありません。敢えて問題を提起するなら、この2星は動きが遅い、つまりスローだということです。
火星に接近する太陽は向こう1週間における一日の移動距離が大体57分~58分の間で、太陽の平均値59分8秒に届いていません。つまり太陽はチャートを立てた時スロー、動きが鈍いと判断されます。
火星は何度も書いていますのでお判りの通り、逆行モードに入る直前ですので、当然歩みはゆっくりしています。火星の平均移動距離は1日31分27秒ですが、本チャートから1週間後までの1日の移動距離は22分、21分、20分、21分、19分、20分、18分とギアを落とし減速するモードに入っています。
さらに2星はノーディグニティのペレグリンですので、あまりやる気の感じられない彼らがアスペクトして果たしてポジティブな効果があるのか、正直半信半疑な部分はあります。
今回は以上です。
アルカス