こんにちはアルカスです。今回も当ブログへのご訪問をいただき、誠にありがとうございました。
遂に当連載は25回を迎えたところでネタ切れとなり、自動的に最終回となります。ここまで私めの駄文にお付き合いいただきまして、本当に本当にありがとうございました。改めて感謝御礼申し上げます。
あ、新年迎えてるんですね。年齢と共になんだか一年があっという間に過ぎていくものですから、あまりしみじみともしませんし実感も沸いてこないですが、とりあえずおめでとうございます。今年もどうぞよろしくお願い致します。皆様方におかれましては、今年が人生最高の年となりますよう祈っております。
28年前、実家の引っ越しの最中、忽然と消えた段ボール箱。そこには持ち主が大事にしていた一対のひな人形とサイクリングユッコちゃんが入っていました。この人形さんたちは誰が何処に持ち去ったのか。私めがご質問を承り、立てさせていただいたホラリーチャートを、17世紀イギリスの天才占星術師ウィリアム・リリーが書き遺した古典占星術の教科書「クリスチャン・アストロロジー(Christian astrology、以下CAと略します)」を基に解読を行ってきた連載記事は、どうやら今回がゴールとなりそうです。
「私が28年前に失くしたお人形さん達は、誰が何処に持って行ってしまったのでしょう」
2018.5.21 17:08
CAの内容と本チャートが当てはまっていると思われる最後の文章は、P357 33行目です。
「月のハウスのロードに月が接近。盗られた物を取り戻す希望があります」
本チャートの月のディスポジター太陽に月は90度で接近しています。しかし2星はおよそ11度差があり、実際アスペクトするのは月が次のサイン・乙女においてです。
太陽と月は次の日の12:48、双子乙女1.01度でクォドレイト(スクエア)します。月のハーフオーブは12度。ぎりぎり成立すると読むべきでしょうか。次のサインでのアスペクトであっても。
難儀ですねえこの証明がはまるものかどうか。現実的・常識的にも28年前の事ですし。どうでしょう悩ましい所です。
この2星についてもう一つ、同様の事が書かれていますのでご紹介します。
CA P358 4行目
「ライツ同士がアングル内でアスペクトしているなら、時間はかかりますが品物を回収できます。但し結構頑張らなくてはいけません。犯人は複数である場合が多いです。トラインなら割と簡単に見つかります。」
ライツとは月と太陽の事。月のオーブが隣のサインまで手を伸ばして届いていると判断されるのなら、ライツ同士はアングルハウス7室および10室内でアスペクトしますので、これも発見の証明として受け取れます。
トラインではなくクォドレイト(スクエア)ですので、簡単ではなさそうですが。
以上ここまでが本チャート中、CAの説明が当てはまると思われる主な暗示の全てです。
ここでは取り上げませんでしたが他にも興味深い説明はいくつもあります。例えばCA P362 27行目からは犯人の体形、背格好から太ってるか痩せてるか、逃げ足が速いか遅いか、などなど犯人に関する推察が記されています。
特にちょっと面白いかなと感じたのはP363の、犯人が太っている証明として、
「犯人の象徴星の黄緯が北寄りで逆行もしくは第一の留ならば、あるいは牡羊、牡牛、獅子の始まりの部分にあるか、双子、蠍、射手の終わりの部分にあるなら、犯人は太っている。」
との一節があります。この書では珍しく黄緯によって観る手法を掲載しています。
本チャートの7室のロード・金星は黄緯+1.38度、アングル在ペレグリン惑星・月はやはり+0.59度ですので、両星北寄りのプラス緯度。逆行はしていませんし、金星は上記サインに入っておらず、月は獅子サインにあるものの19度と半分を過ぎた位置取りです。よって犯人さんはまあ痩せてはいないものの太ってるとも言い難く、敢えて言うなら普通、というか中肉系の方なのかな、というイメージが浮かびそうです。
逆に南寄りのマイナス黄緯なら、犯人は細身、だそうです。
自分なりに本チャートから学んだことはとても大きく、ご質問者様には感謝しかありません。私に質問していただき、本当にありがとうございます。
最後にもう一度、盗難チャートの基本を振り返って、本稿の締めとさせていただきたいと思います。
リリーはP331の最終行からP332の8行目まで
・アセンダントであるところの1室、そしてアセンダントのロードを盗難事件の被害者である質問者の象徴と見做し、また品物が盗まれた場所もこの部屋が示します。
・7室とそのロード、アングルハウスにあるペレグリン惑星、そして時間のロードは盗難事件の犯人もしくは物を盗んでいった犯人グループと見做します。
・2室とそのロード、更に月を失くした、盗まれた、消えた所有物の象徴星と見做します。
と述べています。
※これは全く素晴らしい見解で、疑いようのないものである。
と自信たっぷりに紹介しています。リリーにとっての盗難案件での揺るぎない初手、基礎中の基礎と呼べる選択の手法でしょう。
それは良いのですが、どんな鉄板理論でも数少ない例外はあるものです。リリーが「こんなものは俗説であり、信用するに値しない」との注釈付きで、そう貶しつつもP331 23行目に載せている
・盗まれた品物の象徴星は月のタームのロードである。
この一文なのですが、その22およびその23において月のタームのロード、月のターム星についてご紹介させていただきました。リリーは「盗まれた物が取り戻せるかどうかを知りたい」のなら月のタームのロードを見ろと書いています。しかしここでは「盗まれた品物の象徴星」としてはどうだろう?となっている訳です。この辺りもなかなか難儀です。
実は2室のロードの性質があまり盗まれた物と合わなかったりしっくりこなかった場合、月のタームのロードは盗難品の代替象徴星として、使える
かもしれないことを、私自身が最近ご依頼を頂いて立てさせていただいた、とある盗難チャートで発見いたしました。
またいつか、このチャートにつきましても皆様にお伝えする機会があるかもしれません。それまでどうぞごきげんよう。
愛をこめて
アルカス