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アルカス

2020-10-26 11:40 アルカス先生のブログ~恋愛・結婚ホラリー占星術:基礎編その9
さざんか

こんにちはアルカスでございます。いつも大変お世話になっております。今回も当ブログへのご訪問、誠にありがとうございます。

私アルカスは主に西洋占星術を用いた占い鑑定業を営んでおります。西洋占星術とは地球に生まれ、育ち、自身の生涯をこの地球で全うする人達、動植物、あるいは自然環境等々は全て、5惑星+太陽および月の動きからの影響を受ける、と考える占術です。

当ブログは西洋占星術の主要4技法の中でも、一般にほとんど知られていないホラリー占星術という技法を紹介する為に始めました。

ホラリー占星術とは、人の心の中に渦巻いている悩みや迷い、不安や選択など、具体的な質問に答える占いです。

大体占いに来られるお客様が提出される質問テーマ、その6割は恋愛と結婚です。これは以前よりもその割合は減っておりまして、その分職場での人間関係や労働条件のトラブルに関するご質問が増えたように思われます。失くし物に関するご質問も変わらず多いです。家が売れるかどうか、いなくなったペットは戻って来るか、自身が原告被告になっている裁判の行方などなど、ホラリー占星術で回答させていただくことが可能です。

私が過去承ったご質問には、もっとヘビーなのも沢山ありました。人の道を外れぬ事であるならば、ほぼ卦を立てられると思います。まあ人の道とは何かと問われますと、それも人によってまちまちで、道徳のレンジも様々ですが、直接犯罪に手を染める系のご相談でなければ、大丈夫だと思います。

 

最近は、日本でもホラリー占星術やそのベースとなる古典占星術を紹介・解説する本が続々出版されるようになりました。多分ブームとまで言わずとも、潮流が生じている、ように思われます。

17世紀英国の天才占星術師ウィリアム・リリーが遺してくれたホラリー・ネイタル占星術の教科書「クリスチャン・アストロロジー(Christian astrology, 以下CAと略します)」1647年に出版されたこの本は、1985年にオリビア・バークレー女史の手による復刻版が出され、古典占星術復興ムーブメントのきっかけとなりました。2015年および2018年には太玄社より田中要一郎・田中紀久子両先生の手によるCAの邦訳本も出版されています。

本ブログは鑑定現場でご質問の6割を占める恋愛・結婚に纏わるご質問に、ウィリアム・リリーはどう答えたか、古典占星術、ホラリー占星術ではどう答えるのかを、CA恋愛の項より全ての暗示を紹介させていただき、私なりに検証解説をさせていただくと、そのような主旨となっております。どうぞよろしくお願い致します。

 

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水瓶座のルーラーは天王星であると、著書で初めて宣言したのはジョン・バーリー(John Varleyというイギリス人だそうです。1828年「黄道サイン人相学論文(A Treatise on Zodiacal Physiognomy)」という彼の著書の中で、そうはっきり書かれており、それが水瓶座のルーラー天王星論、の最初の最初だそうです。ジョン・バーリーは1778年にロンドンで生まれ、1842年にこの世を去るまで、主に水彩画家として知られた人でした。が占星術師でもあり、上記の本はネイタルのアセンダントサインより、ネイタル本人の顔の特徴を説明する内容だったらしいのですが、その本の中に「水瓶サインはハーシェル惑星(ウラヌスの名が定着するまでの間、天王星はこう呼ばれていました)によって支配されている」と明記されているそうです。天王星は1781年3月、ウィリアム・ハーシェルが発見しましたが、その47年後に占星術界にデビューした、ということになります。

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…ごめんなさいホラリーの話をすると書きつつ、続いて唐突にこんな文章を入れてしまって。私、前回、その8の記事中、どうしてもこのテーマについて書きたくなってしまい、ホラリーのお話をお休みさせていただき、

天王星

のお話を挟ませていただきました。

今古典占星術系の先生の中で、天王星を水瓶座のルーラーとして扱っている方はほぼいない、と思われます。

現代占星術では、完全に確定されている【水瓶座のルーラー天王星】論が、古典占星術の世界では、大体19世紀後半に改悪された考えであり、【水瓶座は古来より現在に至るまで土星の地盤である】とみなされている事に、1995年、31歳の私は大変なショックを受けた、というお話をさせていただきました。

私はその年まで、西洋占星術とは太陽、月+8惑星にキローンとかリリスとか4つの小惑星とか、オール取り揃えて占うものと信じていましたので、少なくともそれまで読んできた日本語の占星術本にはそう書いてありましたので、はい太陽月含む7惑星だけで十分、水瓶座は土星、双魚座は木星、蠍座は火星と古来から諸惑星に与えられている指定席を勝手に他に回しちゃダメ、とのたまう古典占星術の考え、その一端に初めて触れたのですね。「Horary astrology rediscovered」そして「Christian astrology」からです。

私は、この2冊に書かれている事を読み、ショックでした。特に天王星ファンだった私のハートはズタボロに傷つきました。がなぜか反発心は起こりませんでした。うん古典占星術ではそうなのよね、でも現代占星術ではこうだから、とシャッターを下ろし、以前の勉強を続ける…そんな気にもならなくなったんです。

以前から、ちょっと気になってたのは、獅子座のルーラー太陽は1年で12の黄道サインを一巡りします。月はほぼ28日くらいだ。ではトランスサタニアンは?天王星84年、海王星165年、冥王星249年。古典7惑星の中で最も時間を要する土星でも29年とちょっとってとこで、彼ら新入りをまあ元気のいい恒星扱いで押さえておくと言うのならまだしも、サインルーラーに据えるにはちょっと速度差が有り過ぎるんじゃねえべか、という事でした。7惑星からのアスペクトを受ける側に回るのみの3惑星を、こんなにのんびり周回する、あまりに遅すぎて順行してても逆行してても大差なさそうな彼らを水瓶、双魚、蠍の代表としちゃう事への変な違和感は、無かったと言ったら嘘になるんですよね。

私はこの件をきっかけに考えました。様々な疑問が頭に浮かび、とりあえず多分、調べればわかるだろうと思われることを3つ、ノートに書きだしました。

1. 水瓶座のルーラーはいつ誰が天王星だと宣言したのか。誰がそんな事を言い、なぜそれが広まったのか。

2. 12サインの伝統的なルーラーシップはいつ頃、どの地域で定められたのか。

3. そもそもサインのルーラーとはどういう意味なのか。

 1995年の時点から現在、25年経ってますが、今の段階で1と3は何とかわかりました。2はねえ…近年、情報がエライ出てきていますが読むのが追っつかなくて…すみません。

1はskyscript.co.uk という古典占星術系のwebサイトがありまして、そこのforumで2003年の12月から「Assignation of outer planet rulership(土星外惑星の支配権の割り当て)」スレッドが立ちました。スレ主は当時私と同じような疑問を持っていて、3つの土星外惑星は発見後どのような議論と経緯を経て、水瓶、双魚、蠍のルーラーに収まったのか知りたいという内容だったのですが、識者の皆さんの貴重な意見交換が行われました。このスレッドは今でも閲覧可能ですので、興味のある方は是非ご覧になってください。

また英国の占星術師キム・ファーネル女史がここでの議論を整理し、更にご自身の研究も加えた「When and why did Uranus become associated with Aquarius ?(いつ、なぜ天王星は水瓶座と関連づけられたのか)」という記事も、同じくskyscriptで閲覧可能です。とても簡潔にまとまっており、しかも情報満載な内容です。まずこちらの方をお読みいただくのが分かりやすいでしょう。私はこれを読んでついアマゾンで「オカルト・レビュー」を注文してしまいました(笑)

緑色の上記は、以上の意見を大いに参考にさせていただいた、というか、まとめさせていただいたものです。

 

 2と3も、現在まで学んできたところを、この連載記事の中でお伝えしていきたいと思っております。

1の追加情報もこちらでご紹介できたらと考えています。

 

 

では、遅くなりましたがCAの方、進めさせていただきます。

 P303 アル・キンディの見解の後、27行目からです。タイトルは

【結婚、出来そうですか、出来ませんか】

1. 質問者本人の象徴として、アセンダントとそのロード、月、月が直前にアスペクト分離した惑星。質問者のお相手の象徴として、7室のロード、月が接近アスペクトしていく惑星。質問者が男性なら太陽、女性なら金星を加えます。

2. 1室のロードと7室のロードの間に接近アスペクトがあるかどうかを考慮します。

3. もし7室のロードがアセンダントにある、もしくはアセンダントのロードに接近しているのなら、お相手は(質問者からの結婚の申し出を)不承不承受けるでしょう。

4. もし1室のロードもしくは月が7室のロードに接近もしくは7室にあるのならば、質問者は自身の奮闘努力により目的を達成するでしょう。

 (本文にはもちろん項番はついていませんが、説明上の便宜を図らせていただく目的で、入れさせていただきました)

 

P304の5行目まで訳しました。

質問者側:1室のロードつまりアセンダントカスプがあるサインのルーラー。+月。

質問対象者側=質問者が好きな相手を表す星:7室のロードつまり7室のカスプがあるサインのルーラー

これに質問者が女性ならば金星、男性ならば太陽を加える。となります。

質問者側は最大3つの星をその象徴として持つことになります。

対象者側は最大2つです。

 

…何か書き忘れていますね。そう、月の接近分離惑星についてです。

月が直前にアスペクト分離した惑星は質問者。すぐに接近する惑星は質問者が気になるお相手と。

例えばです。チャートを立てた時、月は山羊座5度にありました。金星は乙女座2度、火星は蠍座8度にそれぞれあったとしましょう。月は最後の分離が金星とのトライン・アスペクト、次の接近が火星とのセクスタイル・アスペクト。

この最後に月が離れた金星を質問者側に、次に接近する火星をお相手に、それぞれ振り分けると書いてあるんです。

では金星が7室のロード(ルーラー)で火星が1室のロードだった場合は?

リリーはCAに自身が鑑定した二つの恋愛チャートを遺しています。そのうちの一つ、

P389  60章「質問者の女性は好きな男性と結婚できるだろうか」のチャートを見てもらっていいですか。

 lilly389

本チャートはユリウス暦1646年6月11日10:33 ロンドン。現在のグレゴリオ暦では1646年6月21日10:39です。質問者は女性。内容は好きな男性がいるのだけど、お付き合い出来ますか結婚できますか。彼モテるんだよなあ、私じゃダメかなあ、みたいな 、ごくシンプルな恋愛相談です。

質問者の象徴星は1室のロード水星双子サイン在、お相手の象徴星は7室のロード木星蟹サイン在。

この2星をリリーはこう語っています。

「また月が木星とのクォドレイト(スクエア)から分離し、水星とのトラインに接近しています。しかも水星はアングルにあり、月が木星から受け継いだ光を、逆行によって「喜んで」受け入れているものと見ます。」

「私はこの縁談が月のような人、もしくは月によって表される人によって突然質問者にもたらされ、その人がちゃんと取り持ちしてくれて、多少難しい点はあるにせよ話をまとめてくれ、両者ご満悦となる事請け合いと申し上げます。」

月は天秤サインにあります。月がこの二つの星の間にあり、お相手の星から月が離れ、質問者の星に接近し繋がるので、月によって表される誰かが中に入ってくれて上手くお話まとまるでしょう、とリリーは書いているのです。

つまり、あくまでこれはCAに掲載されていたデータなのですが、

相手:木星(蟹13.20度)

月(天秤13.49度)

質問者:水星(双子14.47度逆行)

となっており、木星から月が90度の角度を作って分離し、水星に120度の角度を作ろうと接近しますので、月は二星の仲人さんになるでしょう、との解釈です。

あれ?そもそも月は質問者の星になるんじゃなかった?とか、月が分離した星は質問者、接近する星はお相手じゃなかった?等々はここでは華麗にスルーされ、月が分離したのはあくまで7室のロード、接近するのは1室のロードとして、読んでいる模様です。

ですので序列と言いますか、決めておく順としては、

1室のロード…質問者、7室のロード…質問者が好きな相手。で基本動かさないと考えていいようです。

 

※チャートをご覧いただいて一目瞭然だとは思いますが、現在の占星術ソフト、ここではastrologを使用させていただいていますが、星の位置がリリーの示したデータとちょっと違っています。astrologの月は天秤15.37度となっており、リリーデータ13.49度と比べ2度近く進んでいます。水星もリリー記載14.47度の所、ソフトでは15.24度となっており、37分差あります。木星も7分ほどズレています。水星木星の位置に関してはまあトランスレーションに影響を及ぼす程の違いは無いのですが、問題は月でございまして2度違いますので水星とのアスペクトも「厳密に言うと」通り越しています。

と、いうことはリリー先生の仰ったトランスレーションがチャート作成の時点で既に終わっている事になる訳で、この辺は何ともかんともな所ですが、まあ一応リリー先生のデータの方を尊重、と言いますか、月が分離した、そして接近していく二つの惑星についての捉え方について、ここではリリー先生の考えの一端を、実践チャートでご紹介させていただいた、ということでご理解いただければ幸いです。

 

 

月が分離した惑星、続いて接近する惑星の考え方につきましては、リリーの他のチャートも見て考えていきたいと思っております。

またこのネタを、つまり月から分離惑星質問者、接近惑星対象者説をリリー先生どこから引っ張ってきたのか、その辺りも気になるところで、いろいろ古い本にあたっております。今のところ、シドンのドロセウスが著した「Carmen astrologicum」(占星術の詩)の第5部の最初に、なんかそれっぽい事が書いてあるのを見つけたくらいです。まあ5部はホラリーと言うよりもイレクションについて語られてるように見えるんですけれども…

 

 

次回に続きます。今回もお付き合いいただき誠にありがとうございました。

 

 

アルカス