こんにちはアルカスです。いつも大変お世話になっております。今回も当ブログへのご訪問、誠にありがとうございます。どうぞよろしくお願い致します。
また初めてこのブログを見に来ていただいた皆さん。いらっしゃいませ初めまして。アルカスと申します。西洋占星術を用いた占いをやっている、もうすぐ60に手が届くおっさんが書いています。今回が20回目です。どうぞよろしくお願い致します。
本ブログは基本
ホラリー占星術
について、他のネタを織り交ぜつつも、ずっと書き続けています。
ホラリー占星術とは、西洋占星術の占法の一つです。
具体的にはどういう占いかと言いますと
「お父さんはいつ帰ってきますか。3日前から行方不明です」
「業者から勧められている中古物件を買うべきか」
「二人の異性と付き合っているが、結婚するならどちらが合いそう」
「持っているCDやレコードを売りたいがヤフオク・メリカリ・ラクマ、どれがいい」
「東京の店舗への異動を打診されたが、受けてもいいだろうか」
「母親の膝の手術は成功しますか」
これらの具体的かつ切迫したご質問に、殆どの占い師はタロットや易、ルーンなど、所謂卜術で答えようとするでしょう。
ホラリー占星術は、ご質問者の生年月日時のチャートで見る命術、ではなく、占星術で卜術をやっちまおうという、
つまりはお客様からご質問を伺い、占い師側が内容を理解した瞬間のチャートを読むことで、ご質問に答える、という占法が、ホラリー占星術です。
私、アルカスは1999年よりプロ占い師としての活動を開始しました。無謀にも(笑)
私は占いに関する何の先天的才能も、直感も霊感も持ち合わせておりません。
目の前に情景が浮かぶとか、んな能力いっこもありません。
あるのは西洋占星術好きかなー、という思いのみです。
ホラリー占星術という技法を、17世紀英国の天才占星術師ウィリアム・リリー(William Lilly 1602-81)の著書「クリスチャン・アストロロジー(Christian astrology, 以下CAと略します)」の復刻版と、その復刻本を出版したオリビア・バークレー(Olivia Barclay 1912-2001)の著書「ホラリー・アストロロジー・リディスカヴァード(Horary astrology rediscovered:ホラリー占星術再発見。以下HARと略します)」から学びました。
覚えたてのホラリー占星術をひっさげ、電話占いの世界にチャレンジしました。無謀にも(笑)
当たっていると言われる事もありましたが、外れたと言われる事も死ぬほどありました。
それでもこの年まで何とかやってこれたのは、勿論使ってくれるお客様のお陰である事は勿論ですし、まあ詰まる所、この世界とご縁があった、ということなのかもしれません。
ホラリー占星術は、私が思う所では、古典占星術の殆どの基礎的な技法と知識を使用します。アスペクト一つとってもそれが吉意を為すのか凶意に苛まれるのか、を知るのに2星が接近か分離か、シニスターかデクスターか、パーティルかプレイティックか、なぜリリーはCA105ページでしれっと「コンジャンクションはアスペクトとは言えませんから」とか書いちゃってるのか、最低でも以上の事を全て理解していないと、ホラリーの判断は出来ないかもしれません。
シニスターという用語など、CA第1章の2ページ目くらいに「土星のシニスターセクスタイル」とか唐突に出てきます。先に専門用語を出し、後で思い出したように用語の説明を出してくるのはリリー先生の悪い癖です。にしても、シニスターをつい記してしまったのは、アスペクトを見る上で当然考慮すべき基本要素と捉えていたからではないでしょうか。
シニスター、デクスターは日本語の本では、太玄社から出ているクリスチャン・アストロロジーの翻訳本、第1書&第2書の108ページにその意味が書いてありますが、この説明が一番わかりやすいです。是非ご一読をお勧めします。
リリー先生は、とても誠実に、自分が今まで学んできた事を、素人の読み手にも分かるように、占星術の教科書としての役割を果たすように、簡素でシンプルにCAを書いています。
あまりにさらっと書いているが故に、矛盾していたり混乱してしまう部分も出てきます。よく分からないとCAを抱えてリリー先生のもとにやってきた人たちを、生徒として彼の教室に招き入れ、CAには書いていない部分を教えたと思われます。
リリー先生がCAに書き遺してくれた様々な暗示や証明は、さらに深く堀りさげ研究していかなくてはならない事、をご理解いただいた上で、占い師にとってのブレッドアンドバター、恋愛と結婚の質問をリリーはどのように読んでいったか、CA304ページ17行目より始まる「結婚」の項のご紹介は漸くP304の35行目
「あるいは象徴星間にリセプションがある。より動きの遅い惑星によるコレクションがある、象徴星間にディグニティ交換がある。」
のリセプションの説明を終えまして、続きましてコレクションの説明に入らせていただくという、まさに蝸牛の歩みを地で行く進み具合ではありますが、どうぞ皆様お付き合いくださいませ。
リリーはコレクション(collection:収集、回収、採集)をパーフェクション(perfection:完成、完全)の一つとして、CA P126で紹介しています。
パーフェクションとは、ホラリー占星術においてこの形が成されているのなら、質問者の希望は叶うだろうという星の位置取り、アスペクトを指して使われる用語です。
では具体的に星々がどうなっているとパーフェクションなのかと申しますと、例えば恋愛相談の場合です。
1. コンジャンクション
アセンダントのロードと7室のロードが共に1室かその他のアングルハウスにあって、まっすぐコンジャンクションしていくなら、2人はお付き合いできるでしょう、という証明になります。
2. アスペクト
アセンダントのロードと7室のロードが共に良いハウス(例えば1室と5室、7室と11室、1室と11室、5室と7室など)にあってトライン、セクスタイルの吉角形成なら、2人はお付き合い出来ます。
クォドレイト(スクエア)、オポジションでも可能と見るが、いくつかの条件が付きます。
3. トランスレーション・オブ・ライト
すみません。その13をご覧ください。
4. コレクション・オブ・ライト
アセンダントのロードと7室のロードの間にアスペクトはありません。ありませんが、もう一つの惑星、第3の惑星に共にアスペクトしようと向かっていて、順々にアスペクトしていったなら、コレクションが宣言されます。
この第3の惑星は2人の象徴星からアスペクトされる事により、第3の惑星によって表される人物・事物が2人を結びつけるだろうという、ポジティブな証明です。
例えばアセンダントが天秤、ディセンダントが牡羊だったとしましょう。当然アセンダントのロードは金星、7室のロードは火星となります。金星は山羊サイン17度にあり、火星は射手サイン15度にあったとしましょう。彼らはアスペクトしませんが、土星が双魚サイン18度にあり、金星からセクスタイル、火星からクォドレイト(スクエア)のアスペクトを順々にされていくとします。土星は金星と火星の光をコレクション=収集する、事により、2星の縁結びをする、という証明です。
で、リリーはこのように説明しています。
「大体の場合、2人は仲違いしていて、そっぽを向きあったままになっている。しかし突然2人を知るご近所さんもしくはお友達が2人の間に入って互いの不満を聞いてやり、仲直りさせたりする。これをコレクションと呼ぶんです」
コレクションとはお友達やその他の人物の世話焼きであると、リリーは言ってるわけですね。
その説明はまあ理解できるんですが、私この話を初めて聞いた、というかCAで知り、第3者が2人を結びつける暗示としての3星の配置を改めてイメージした時、すっごく難しい、と思ってしまいました。
例えばアセンダント獅子、ディセンダント水瓶のホラリーチャートが出たとしましょう。
1室のロード太陽と7室のロード土星が、第3の星によって収集される図とは…太陽は双魚9度にあり、土星が獅子13度にあったとします。
2つの星にアスペクトはない。しかし第3の星・火星が双子14度にあって逆行。土星とセクスタイルを作り、その次に太陽とクォドレイト(スクエア)、したとするなら、これは火星のコレクション案件なのだろうか。この形もありなのだろうか。
第3の星が自分より重い星の光を自ら拾いに行く形でも、コレクションと見做せるのだろうか。
基本、第3の星は2つの星を迎え入れる立場のようですので、3つの星の中で最も遅くなければなりません。なので大抵の場合、コレクションする星、おせっかいを焼く第3の星は土星か、さもなくば木星、火星もあるかもしれません。
となると恋愛質問1-7ロードの場合、まず太陽-土星の組み合わせでは、コレクションは起こりにくい、上記のような配置でもない限りは難しい気もしますし、月と土星、水星木星間でもあまり見かけることなく、せいぜい金星と火星を土星か木星が受け止めていく、くらいのものかな、という気がします。
駒草出版より出ております、鏡リュウジ先生翻訳によるアンソニー・ルイスの「ホラリー占星術 入門と実践」。皆様もうお買い求めになられましたでしょうか。
この本のP189-190に、13世紀イタリアの占星術師グイド・ボナッティによるコレクション・オブ・ライトの実践例が載っています。
で、この本には質問者の質問内容が書かれていなかったので、ネタ元はどこにあるんだろうかと調べました。
ありました。まずプロジェクト・ハインドサイト(Project hindsight)が1996年に出したロバート・ハンド先生訳「Liber Astronomiae(ラテン語で「天文学の本」)Part Ⅳ on Horary, First part」8ページにあります。
そしてベンジャミン・ダイクス氏による2010年の出版「Bonatti on Horary Guido Bonatti’s book of astronomy treatise 6」360ページです。
両方とも同じ、グイド・ボナッティが書いた本の英訳ですので、内容は同じです。ダイクス先生、ハンド先生共に分かりやすく書いていただいており、解説もとても勉強になります。勿論両書ともお勧めです。
質問内容は恋愛の話ではなかったのですが、ざっくり訳しますと
「私はあるキリスト教区の教会に勤められるか(望む職を得られるか?)」というものです。
アンソニー・ルイスの翻訳本P189に載っている、ボナッティのホラリーチャートはアセンダントが牡羊になっており、アセンダントのロード火星の事は書かれていず、牡羊サインにある土星が18度にあり、木星が射手15度、太陽が双子14度となっています。
私、原書「Horary astrology plain & simple」も持っておりますので93ページにある同じ図を見ましたが、やはり牡羊上昇で、太陽が双子にあって地平線下なので夜チャートであると、書いてあります。
これはプロジェクト・ハインドサイト版ならびダイクス版の表記と異なります。
この2冊には共に同じチャート図が書かれています。それは射手14度上昇で、アセンダントのロード木星は射手15度。宗教・教会を表す9室は獅子サインの支配で、ロード太陽は7室双子14度にあります。
そして2、3室のロードと思われる土星は、5室牡羊にあって18度の位置です。
つまり質問者の象徴星は木星である、教会を表す星は太陽である、第3者の星は土星である
となります。
つづいて2冊は共にこのような事を書いています。
「木星、太陽それぞれに土星とアスペクトしていき、土星は2星の光を収集します。まさに土星によって行われる木星と太陽のコレクション・オブ・ライトは、質問者の望みをかなえるものですので、教会で望む職を得られるでしょう。なぜなら教会を表す9室のロード太陽は土星の位置にイグザルテーションを得ている事で関わっています。そして太陽によって表される、木星が欲している問題を土星は委託され関わるからです。この件は質問者が自力で何とかしようとするよりも、誰かに推薦してもらってと考える方がよっぽどスムーズに行くよと出ています。理由は木星と土星はトライン・アスペクトしているけれども、完全なリセプションではないんですね。木星をトリプリシティ以外で受け止めていないので。どうやら質問者の兄弟がこの件に関わって、上手くまとめてくれるように見えます。で、もし質問者に兄弟がいない場合は、質問者の事が本当は好きではないのだが、好きな振りをする誰か、の兄弟がしてくれるでしょう…」
以下結構長く続くんで、すみませんがこの辺にさせていただきます。
ボナッティは質問者の星・木星と教会の星・太陽が、2室および3室の支配星・土星によってコレクションされるので、これはうまいこと誰かの手筈で、質問者は職に就けるだろうと、踏んだようです。
収集される2星と、土星との間にはエッセンシャル・ディグニティによるリセプションが、願望成就に必要だ、的な事が書かれています。
リリーはコレクションに際し、リセプションの有無は特に述べていません。
そしてボナッティ・チャートの場合、太陽と木星は土星と繋がる前にオポジションになりますが、これはリリーの見方ではご法度です。
なかなか、古典と一口に言っても、先生の間で意見の相違は結構見られます。
ありがとうございました。
前回の水星とIQランキングの続きは次回、やらせていただきます。
アルカス