こんにちはアルカスです。いつも大変お世話になっております。今回も当ブログへのご訪問、誠にありがとうございます。どうぞよろしくお願い致します。
このブログは電話および対面で占いをやっております私、アルカスが、ホラリー占星術、お客様からご質問を承った日時、その瞬間の星の配置から、ご質問に答える占術について、ご覧いただいている皆様と一緒に学んでいきたいなという気持ちで続けている連載コラム、です。
私がこのブログで、ホラリー占星術の教科書として使用しておりますのは、17世紀イギリスの天才占星術師ウィリアム・リリー(William Lilly 1602-81)の著書「クリスチャン・アストロロジー(Christian astrology, 以下CAと略します)」です。
1647年に出版されたこの本は全832ページという大作で、3部に分かれています。
Book1,Book2が占星術の入門的な基礎知識とホラリー占星術の説明に費やされており、486ページに及びます。
この内ホラリー占星術の項では、1室(ハウス)から12室(ハウス)まで、12の室(ハウス)がそれぞれに受け持つ事象や人物を紹介し、こういう質問が来たらこの室(ハウス)を見るんですよ、という具体的な指示を与えています。
例えば、
・私は長生き出来そうですか
・私はどこの国に住んだら幸せになれるでしょう
・何歳くらいが一番幸せですか
・これからの人生どうなっていきますか
的な質問はホラリー占星術のチャートより判断可能であり、アセンダントとそのロードの状態から読み取りなさいと、リリー先生は記しています。つまり1室(ハウス)関連の質問だという事ですね。
ちょっと面白いのは、CA151ページ
・いなくなった人は今生きているか死んでいるか
という質問が来たら、質問者と消えた人との関係が親戚とかでない限り、1室とそのロード、そして月で見ろと、書いてあります。
更に面白いのがCA193ページ28行目
・聞いた噂は本当の話?それともでたらめ?
もアセンダントのロードと月で読んでいけと書いてあるんです。つまり1室関連の質問だと。
で、アセンダントのロードと月がアングルハウスにあり、フィクスドサインにあるなら
もしくは上記2星がサクシーデントハウスにあり、フィクスドサインにあるか、吉星であるところの・太陽・木星・金星とトラインかセクスタイルアスペクトを形成しているのなら、その話はマジだとリリー先生は記しています。
但し、アセンダントのロードが凶星土星および火星のいずれかと凶角形成なら、それは嘘っぽいということになるようです。たとえアセンダントのロードがアングルハウス&フィクスドサインにあったとしてもです。
金の問題は2室とそのロードで観る。兄弟や同世代の親戚に関する事は3室で、住居と父親に関する質問は4室、以下ずらずらとCAには事細かく書かれておりますので、ホラリーに興味を持たれている皆様におかれましては、今更言うまでも無い事ですが、CAマストバイです。太玄社から出ている邦訳本を是非お買い求めください。
恋愛・結婚についての質問は7室の事項です。私はCA302ページより始まる第49章恋愛・結婚相談の読み方、319ページの下まで続くのですが、このブログの中でぼちぼちぼちぼちと訳していっています。
本ブログのメインテーマが、恋愛・結婚問題をホラリー・チャートではどう読んでいくのか、だからです。
リリー先生が遺してくれた恋愛・結婚ホラリー占星術の基礎知識を、見に来て下さる皆様と共有したくて、続けております。
それで、多分CAの翻訳と解説だけを「集中して」やっていれば、このブログはとうの昔に連載を終了しているはずなのです。中身17ページくらいですからねえ。
これが私の性格と申しますか、双魚座水星の性なのかもしれません。目的地があってそこまで辿り着く電車に乗ったはずなのに、車窓に映る景色に気を取られ、気が付くと別の電車に乗り換えているんです。
あのう
唐突に違う話をしてしまって、大変申し訳ないのですが
イエス・キリスト、あるいはナザレのイエスのネイタルチャート、見た事ある方いますか。
ネイタルチャートを作るには、その人の生年月日時と生まれた場所、のデータが必要です。
場所はパレスチナのベツレヘムですね。
いつ生まれたのかについては、聖書に記述はありません。
ですので古代から現代に至るまで、とんでもない数の研究推察が行われ、多くの人々が魅力的で難解なこの問い
「イエスって何年の何月何日に生まれたの?」に挑んできました。
どうやらさすがに12月25日ではない、ことだけは多くの研究者の見解の一致をみているようです。
逆にありそうな時期として、現在ある程度の支持・同意を得ているのは
「紀元前2年か3年の9月頃」と、いうことらしいです。
理由は色々あるんですけれども、聖書に書かれているところから類推する研究者が多いのかな、と
色々なブログを見ていて思います。
ではお釈迦様のお誕生日をご存じでしょうか。
この方の生年月日もはっきりとは分かっていないようです。
紀元前563年か480年のお生まれだそうです。4月8日生まれ、ですよと書いているお寺さん系のブログは多いです。
花まつりの日とされていますね。
「黒魔術がひそむ国。ミャンマー政治の舞台裏」春日孝之著、河出書房新社刊の72ページで、テイン・セイン政権(※2011年3月30日ミャンマー軍事政権後初代・国家元首通算第10代大統領就任、2016年3月30日大統領を退任。)のお抱え占星術師だった仏僧ペニャン師(64)がこのような発言をされています。
「ミャンマー人にとって出生日時はとても重要だ。古代よりビルマの王たちは釈迦の出生の例にならって分単位で正確な記録を残した。釈迦は紀元前624年5月14日正午、ビルマ暦ではカソン月の満月の日に生まれた。没年は紀元前544年。」
このデータは東南アジアでは一般的に信じられている、そうです。
お釈迦様の正確な生年月日時は、上記の説を含め7つほど異論があるようです。満月、つまり太陽と月がオポジションの時に生まれたようですので、特定しやすいと言えばいえるのかもしれません。
それでは皆様、神のネイタルチャート、見た事ありますか?
(笑)いや笑ってる場合じゃないんですけど
んなもんある訳ないだろうって?いや、これがあるんですそれが
テーマ・ムンディ(thema mundi)です。
すみませんこの件は、前々回より私が個人的に引っかかって、ご紹介している「12文字のアルファベット」の続編となります。実際にテーマ・ムンディとは一体全体何なのか、お話をさせていただくのは、まあまあ長くなりそうなんで次回に持ち越しとさせていただきます。今回は予告編という事でご了承ください。
まず事の発端は、古典派の占星術師デメトラ・ジョージ(Demetra george)のブログに、伝統占星術を学ぶのなら「12文字のアルファベットは使うな」と書いてあり、12文字のアルファベット…それ何ですか知らんぞ聞いたことない、という所から始まりまして、私の好奇心の及ぶままに色々調べたところ、現代・心理占星術の作家・講師ジッポーラ・ドビンス(Zipporah Pottenger Dobyns)とドビンスのお嬢さんマリーサ(Maritha Pottenger)が80年代初頭にアメリカで広めた「ハウス=サイン=惑星一体論」説の事、だそうです。つまり
1つ目のハウス、1つ目のサイン、そのサインのルーラーは特徴的な意味や心理を共有する仲間、グループである、と考えるんですねドビンス先生によりますと。
2つ目のハウス、2つ目のサイン、そのルーラーも同様に一つの枠に入り、その象徴性や意識を共有する、
これが12グループまで続くというシステムが「12文字のアルファベット」なのです。
最近漸く、ドビンス先生が2003年に出した本「Healing Mother-Daughter relationships with astrology(母と娘の関係性を占星術で癒す)」を手に入れまして、パラパラめくってみたのですが、6ページからキャッチフレーズが書いてあるんですよ。つまり12文字のアルファベットグループのキャッチがそれぞれに。曰く
Letter 1 :1室、牡羊、火星
「私には今、やりたいことをやる権利と力があるはずだ。今それを仕上げたので、今度は新しいことをやりたい。私は開拓者でありたいと願っており、自由を制限されることに黙ってはいない。」
このキャッチが1室、牡羊、火星それぞれに含まれる共通テーマであると。なるほど、というところですかね。
ではLetter2はどんなものでしょうか。
Letter 2 :2室、牡牛、金星
「物で溢れる世界を自分らしく楽しみたい。お金を稼ぐのも使うのも、欲しいものを集めるのも、食欲を満たすのも楽しいし、美を追求したり、私を楽しませてくれるものなら何でも」
Letter 3もこの際だからいっときましょうか。
Letter 3 :3室、双子、水星
「自分の周辺のことを少しでも知りたい、学びたい、コミュニケーションしたい、小旅行したい、兄弟や隣人など同世代の人と人生を共にしたい、広い視野を持ちたい、気楽に暮らしたい」
こういった心情を共有すると、いうことなのでしょうね。非常にシンプルではありますが、何も知らない初学者がざっくり現代占星術の世界に触れるには、分かりやすいと言うか、入っていきやすいのかなとも思います。
このような、並び順が同じハウス・サイン・サインの支配星を一つのパッケージに入れていく考えは、17世紀に既にあった、と「ホラリー占星術」(駒草出版)の著者アンソニー・ルイス(Anthony Louis)が自身のブログで述べています。前回その23ではCAよりCon(もしくはCo)significator(共同もしくは副象徴星)について、ご紹介させていただきました。リンクを張っておきましたので、ぜひご覧ください。
リリーはサインの始まり牡羊、ハウスの始まり1室、惑星の先頭はカルディアン・オーダー的に土星。この3つをセットと見做しています。以下
牡牛、2室、木星。
双子、3室、火星。と続き、トータル12のパッケージを作っています。
しかしヘレニズム初期に宇宙の始まりのチャートとして描かれた「テーマ・ムンディ」は、蟹座が1室となっており、その蟹サインには月が入っています。獅子には太陽、乙女には水星、天秤金星、蠍火星、射手木星、山羊土星と支配サインに惑星が置かれる図となっています。
テーマ・ムンディは非常に古くからあり、しかも牡羊ではなく蟹サイン上昇で、宇宙の始まり=神のネイタルチャート、と呼ぶ人もいました。次回もう少し詳しくお話しできると思いますので、暫くお待ちくださいませ。
CA P305 13行目より、翻訳を再開します。
フラストレーションは質問者の縁談をお流れにします。
フラストレーションとは何か?前回その23に書いてありますので、ぜひそちらの方をご参照ください。
「象徴星間の接近がフラストレイテッドされているのは、それを引き起こす3つ目の星によって表わされる人物もしくは事項により、2人の結婚は破談となる暗示です。その具体的理由については3つ目の星があるハウス、あるいはその星が支配するハウスが語ります。もしそれが2室のロードによるものならば、資金不足です。3室のロードならば、兄弟親戚関連の問題です。逆に(※つまりフラストレーションしているのではなく)トランスレーション・オブ・ライトやコレクションがある事によって予測されている結婚は、(前述の)第3者によって促されていくでしょう」
「つまり(※トランスレーション・オブ・ライトやコレクションによって2人を表す星を繋いでいるもう1つの星であるところの)第3者の星が2室のロードならば持参金を保証する人たちによって、です。」
「これが3室のロードならば兄弟、10室のロードならば母親、5室か11室のロードならば友人、6室のロードならば叔父、叔母、あるいは使用人(※もし質問者が店や会社を経営しているのなら、そこで働いているスタッフ・社員)が2人を結び付けるでしょう」
「結婚はコンジャンクション、オポジション、クォドレイト(スクエア)のアスペクトがあるのなら、成就すると申し上げられますが、結構手間がかかります。トラインかセクスタイルならばスムーズに事が運び、リセプションがあるのならもう最高です」
質問者とお相手の星との間にアスペクトがなく、3つ目の星が絡んでもフラストレーション状態になっていると、第3者が妨害していると見做され縁談は難しくなり、トランスレーション・オブ・ライトやコレクション状態になっていると認められるのなら、3つ目の星が表わす人物の働きにより成立します、とリリー先生は述べています。
基本的な考えとしては、リリー先生の説明通りです。
が、別にケチをつける訳ではないのですが、3つ目の星を挟んでいる場合の判断は、実際は非常に難しく、これはCAに書いてあるトランスレーションやコレクションの形では無い、と思われるチャートであっても、完成していたりする場合もあり、近年、8世紀から11世紀に活動したアラブの占星術師達、マ・シャア・ラー(Masha’allah 740-815)、アブ・マシャー(Abu Ma’shar, Albumasar 787-886)、アル・ビールーニー(Al-Biruni 973-1050)らの技法研究が進み、英国のハーバリストであり中世占星術の専門家としても知られるグレアム・トービン(Graeme Tobyn)が3つの星の複雑な絡みをポジティブに捉えるべきなのか、それともネガティブな暗示と見做すか、について主に上記3人の読み方を追った「A review of the astrological tradition concerning the perfection of significators & its denial(象徴星間の完成と否定に関する古典占星術手法の再調査)」という記事を2007年、skyscript.co.ukに投稿しています。とても中身の濃い力作で、リリーに対して批判的な個所もあります。ご興味を持たれた皆様方には是非ご一読をお勧めいたします。
また日本では、古典占星術の真の実践・研究者であるKuni. Kawachi、河内邦利先生の著書
「西洋占星術 星の階梯Ⅱ 占星術の奥義」65ページから81ページ
までのトランスレーション・オブ・ライトの項を是非是非是非、何としてもお読みください。めちゃくちゃ面白いです。物凄く勉強になる。我々が生きている同じ時代に、日本にこの先生がおられる事を私たちは深く感謝しなくてはいけません。
それではまた来月お会いしましょう。
アルカスでした。