こんにちはアルカスです。いつも大変お世話になっております。いつも当ブログへのご訪問、誠にありがとうございます。今回もどうぞよろしくお願い致します。
私は西洋占星術専門の占い師をやらせていただいております。
西洋占星術はいくつかのジャンルと言うか技法があるのですが、中でも
ホラリ―占星術
が個人的に大好きで、ずっと学んできて実際の鑑定でも用いています。
ホラリ―占星術とは、お客様が私に占いを依頼されて、私がお客様のご質問内容を伺った後、
私は一度確認します「ご質問内容はこうこうこういった事ですね」と。
それに対してお客様が「はいそうです」「そのことについて占ってください」
と答えていただいた瞬間の、星の配置図で答えていく占星術です。
この星の配置図の事を「ホラリー・チャート」と呼びます。
ホラリー・チャートの緯度経度は、占い師とお客様が相対している占い館、占いの店の位置が使われます。
電話占いの場合は、占い師がいる場所の緯度経度で作ります。
私にホラリー占星術の存在を教えてくれたのは、まず石川源晃(1921-2006)先生、とある日本人の先生、イギリスのオリビア・バークレー(Olivia Barclay 1919-2001)先生、
そして17世紀イギリスの天才占星術師ウィリアム・リリー(William Lilly 1602-81)先生です。
このブログはリリーが書き遺してくれたホラリー占星術およびネイタル占星術の教科書
「クリスチャン・アストロロジー(Christian astrology, 以下CAと略します)」
第49章結婚の項(P302-319)の翻訳がメインテーマです。
どんな占い師の所にも、おそらく最も多く持ち込まれる恋愛と結婚の相談に、リリーはホラリー占星術を駆使してどのようにチャートを読み、判断したのか。彼の技法を紹介し、このブログを読んでいらっしゃる皆様と一緒に学んでいきましょう、というのがこのブログの目的とする所です。
私は前回、CA P 121 21行目~123 12行目(※Astrology classics刊)に書かれてある
「判断前の考慮(Considerations Before Judgement)」
につきまして、ちょこちょことご紹介させていただきました。
「判断前の考慮」とは、お客様からご質問をいただき、立てたホラリーチャートが「質問に真剣に向き合うに足る誠実さを持っているか。それともお客様が占い師自身に興味があるだけなのか」「その質問が本当の、本心からの質問なのか。隠している別の質問があるのではないか」について、立てたチャートから観る技法です。
チャートに問題がない場合、これをラディカルと呼びます。
ラディカルとは何か。前回分に書いてありますので、読んでいただけると嬉しいです。
リリーはホラリーチャートがラディカルであるかないか、その見方について全部で12項目挙げています。
1. ホラリーチャートのアセンダントのロードと時間のロードが同じトリプリシティであるか、同じ惑星であるか。性質が一致している。
時間のロード(Lord of the hour)=アワー・ルーラー(Hour ruler/Ruler of the Hour)とかプラネタリー・アワー・ルーラー(Planetary Hour Ruler)などと呼んだりもします。
時間のロードとは…これを説明するのは難しいと言うかですね、この話を初めて聞くという皆様にとっては、ちょっとポカーンとする話になってしまうかもしれません。特に私のイマイチな表現だと別世界にお連れするような感じになるかもしれませんが、一応聞くだけ聞いてみてください。
時間は常に7惑星のどれかに支配されていると考えるのが、時間のロードのベースとなる概念です。
どの惑星がどの時間を支配するのかにつきましては、カルディアン・オーダーとの繋がりから判断します。カルディアン・オーダーとは土星から始まり2.木星、3.火星、4.太陽、5.金星、6.水星、7.月と連なる7惑星の並びの順番の事です。
具体的には日の出の時間から日の入りの時間までを昼の時間帯とし、この時間を12等分します。
そして日の出の時間をその日の始まりと見做します。そうすると当然日の出の時間は第1時となります。
この第1時は曜日と同じ惑星が支配するものとします。
日曜という日は太陽が支配する日です。月曜は月が支配する日であり、火曜は火星が支配する日です。以下水曜=水星、木曜=木星、金曜=金星、土曜は土星が支配する日となります。
ですので例えば土曜日の日の出の時間、第1時は土星が支配している時間になります。2時は土星に続く星、木星がこの時間のルーラーとなり、3時は火星が、4時は太陽、5時は金星、6時は水星、7時は月が担当となり、8時になるとまた土星が戻ってきて支配します。9時木星、10時火星、11時太陽、12時金星と時間のロードは変わっていきます。
次に日の入りから次の日の日の出までの時間を夜の時間帯とし、この時間帯も12等分します。12の時間枠をカルディアン・オーダーに則って、惑星たちが順々に支配するということになります。13時は金星に続く星・水星が支配し、14時は月、15時土星、16時木星、17時火星、18時金星、19時水星、20時月、21時土星、22時木星、23時火星、ここまでが土曜日の全ての時間のロードとなります。
24時から日曜の日の出の時間となるのですが、時間のロードは火星の次の星ですので、太陽となります。
この太陽は日曜という太陽が支配している曜日の、最初の時間を支配する星となっています。
昼12、夜12で区分けする時間のロードですが、当然のことながら昼の時間と夜の時間は一定ではありません。
1日24時間なんだから、1枠は1時間だろ、とはなりません。春から夏にかけては昼の時間の方が夜よりも長くなりますし、秋以降冬に至る季節は昼よりも夜の方が長くなります、
春分の日、秋分の日前後のみ昼夜の長さが等しくなります。今年の名古屋の場合は3月17日と9月26,27日が昼夜等分日だったようです。これらの日以外は夏ならば、昼の時間帯の1枠は長くなりますし、夜の時間帯の1枠は短くなる、冬ならばその逆となります。
と、ここまでが、私めの時間のロード=プラネタリーアワーに関する拙い説明の一部始終です。
リリーはホラリーチャートを立てた時の時間のロードとアセンダントのロードがトリプリシティ一致か、性質一致か、それとも同じ星ならば、ラディカリティーが認められる=鑑定に移って良いチャートとしました。
ではCA P196より例題チャートをご覧いただきます。質問は「自分の兄弟が西方面に旅に出たが、兄弟からは何週も全く連絡がなく、不安に駆られている。兄弟は無事なのか」といった内容です。
ご兄弟からずっと連絡がないんで、こりゃ何かトラブルに巻き込まれたかと思い込んで、矢も楯もたまらずリリー先生の家を尋ねた、といった感じでしょうか。
アセンダントは山羊。山羊サインのルーラーは土星ですね。そしてこの時間のアワー・ルーラーは火星です。
では一つづつ参りましょう。アセンダントのロード土星と、アワー・ルーラー火星にトリプリシティの一致は見られますか?見られません。土星は昼チャートにおいて風のトリプリシティを持ちます。火星は昼夜共に水のトリプリシティ・ルーラーです。よってトリプリシティは不一致となります。
アセンダントサインは?山羊ですので地のトリプリシティであり、アワー・ルーラー火星は水のトリプリシティですので、これも不一致です。
では二星は性質一致でしょうか。土星はコールド&ドライ(Cold & dry)、火星はホット&ドライ(Hot & dry)ですので、性質も不一致です。
最後に、同じ惑星ですか。はい、言うまでもなく違います。
という事で、いきなりラディカルではない、とする証明が出てしまいました。
しかしリリー先生は、本チャートがラディカルであろうとなかろうと、ほぼ気にしない体でチャートの解読を進めています。まず目の前の質問してきた人物をリリーは
「上昇サイン山羊、山羊のルーラーは土星で、サインもルーラーも両方共Cold & dry。よって目の前の男性は細くて痩せている、いかにも土星的な人物です」と書き記しています。
私、今までCAを読んでいて気になった事が、正直いくつもあるんですが、本の中でリリー先生は1ハウスから12ハウスまでのホラリー占星術の技法説明の中に、自身が実際に鑑定したチャートを例題として挿入しています。
例えばP129から始まる1ハウスの説明の中で、P135より例題チャートの解説を始めています。このチャートをご覧ください。
質問内容は1.私は長生きしたいんだがどうだろう。2.どこに行ったら良い事ありますか。3.人生の中で最もラッキーな時期はいつ。4.今まで自分の身に起こったトラブルってチャートからわかるもんなの。5.未来に起こりそうなことは。6.それっていつ。
これらいかにも面倒くさそうな人の細かい質問に、ネイタルチャートによって、ではなくホラリーチャート一枚できっちり答えちゃってるというのも、リリー先生の偉大さを再確認せずにはいられないものがありますが、その前にまず最初に先生が語っているのは、質問者の外見的特徴について、なのです。
「質問者の身長はアセンダントのサインである獅子によって表されています。アセンダントカスプ近くに火星と木星の性質を持つ明るい恒星レグルスがあり、アセンダントカスプとアセンダントのロード太陽は両方共、木星のタームを保持しています。月は10ハウスにある木星と金星にトラインアスペクトしています。これらの暗示より、質問者の外見はなかなかいい感じであり、身長は普通。引き締まった体格でデブでも丸くもありません。割とハンサムで落ち着きがあり優雅さすら感じさせます。顔は色白、髪はオレンジ、肌は透き通っています。右ほおに切り傷(彼は軍人だった)。これはアセンダントにある恒星が示している通りです。この恒星は傷や怪我を暗示するからです」
ホラリーチャートのアセンダント、アセンダントのロード、更に月の状態が、質問者の外見、体格や雰囲気、顔の傷などの「理由」「証明」であるかのように、今出したばかりのホラリーチャートが質問者のネイタルチャートであるかのように、一致するポイントをいちいち書き記しているのです。
このチャートのアワー・ルーラーは火星です。火星はHot & dryの性質を持ち、アセンダントサイン獅子のロード太陽も同じくHot & dryですので、この質問はラディカルです。しかしその事はこの説明文の中にはありません。まるでチャートと外見はぴったり合致しているから、他を見なくともこれでラディカリティー成立だ、と考えていたのかもしれません。
リリーはこの例題以外でも、
「質問者はおへそのそばにほくろがある事、また右足のくるぶし付近にほくろがある事を認めました。これは乙女サインに月がある事と、6ハウスのカスプが水瓶サインであることより導き出しました。またアセンダントのロード水星が双子にある為、右腕の外側にほくろか傷があります」(CA P239)
「質問者の女性はアセンダント獅子とそのロード太陽によって表されます。質問者はそこそこ背が高く血色良く、朗らかで品の良さそうなルックス。瞳はグレー。髪は明るめの茶。私が思うにこれらはアセンダントのロード太陽が火星のターム内にあることによるものです。彼女はよく喋り、とても可愛らしいです」(CA P386)
このようにホラリーチャートの暗示と質問者の外見・雰囲気の一致点をこまごま書き込んでいます。
前回のブログで、ジョン・ガッドブリーが自書の中で「ホラリーチャートのアセンダントおよびアセンダント在惑星が、質問者の人物像を正確に描写しているのなら、チャートはラディカルと見做して鑑定に移って良い」と記している事をお伝えしました。
CAの中にそのような文章は、私が見る限り、ありません。ありませんが、ややまあまあ近いような事は記しています。
「アセンダントカスプが0度,1度,2度の場合(特にアセンダントサインがショートアセンションサイン山羊、水瓶、双魚、牡羊、牡牛、双子の場合)、質問者が相当若く肌の色や体格、雰囲気、肌艶、また傷、ほくろの位置などがアセンダントサインの性質と一致していない限り、その質問には答えられません」(CA P122)
リリーは実践ではアセンダントが何サインで何度上昇であろうと、お客とチャートを見比べています。
出されたホラリーチャートと目の前のお客が果たして外見雰囲気所作一致しているかどうかを、丹念に調べラディカリティーの第一義としているように、見えます。
ごめんなさい。判断前の考慮、もう少し続けさせてください。
本ブログのメインテーマ、CA結婚の項の翻訳はP309 28行目からです。
「夫婦の不和について。アセンダントのロードと7ハウスのロードがクォドレイト(スクエア)かオポジション、衰弱している月のロードが、アセンダントか2凶星にアスペクトしているか、逆行しているか、1ハウスにあってコンバストされているのなら、質問者は常に相手に喧嘩や議論を吹っ掛けるでしょう。逆に7ハウスのロードが同様の損傷を受けているのなら、連れ合い側が衝突の火種となるでしょう。」
2凶星とは土星と火星の事です。衰弱している月とは、具体的には山羊サインや蠍サインに入っているという意味でもありますし、コンバストされていたり、凶星との凶角を受けている場合も「弱まっている」と呼べるでしょう。
「月が蠍サインにあってフォール、もしくは2凶星とクォドレイト(スクエア)かオポジション、あるいは逆行惑星とクォドレイト(スクエア)かオポジションしており、月がアセンダントにアスペクトしているのなら、女性側からの先制攻撃により、口論や喧嘩が勃発するでしょう。もし質問が男性側からもたらされたのなら、アセンダントに2凶星かドラゴンテイルがあるのなら同様です。」
夫婦間トラブルは月の状態がカギとなると、リリー先生は述べています。
「誰がトラブルの原因となるのでしょう。もしくは和合の原因となるのでしょう。損なわれていたり弱まっている惑星が3ハウスのロードならば、そしてそれが1ハウスか7ハウスにあるのなら、兄弟か同世代の親戚です。10ハウスに凶星があるのなら、喧嘩と叱責と口論がいつまで続く暗示です。4ハウスに凶星は離婚か、離婚に向けて話し合いを進めるか、持参金の件で問題が起こります。」
兄弟やいとこやはとこの件で喧嘩が起きるというのも微妙ですが、具体的にどんな状況が思いつきますかね…私も弟がいますが離れて暮らしていて滅多に会いませんので、お互いいい歳ですし、あまり起きようもないですねえ。10ハウスの凶星はずっと怒鳴り合いが続く感じなのでしょうか…4ハウスは終わりの部屋ですので離婚というイメージですかね。惑星の状態がとても重要だと、古典占星術では考えるようです。
「弱まっている月がアセンダントにアスペクト、喧嘩、別離、いいかげんな生活ぶりを暗示します。凶星が4ハウスか10ハウスにあるのなら、病人もしくは両親が不和を持ち込みます。」
なるほど。
「月が分離した惑星と、接近する惑星との間にアスペクトが作られないのならば、議論や争いは常に起こります」
ここでは月の動きと、関わった惑星間のアスペクトの有る無しを見る必要があると言っています。多分月がトランスレーションした2惑星の事を差していると思われるのですが、例えば月が金星とトライン分離した後、月が土星にセクスタイル接近している場合、月が土星とのアスペクトを離れた後、金星が土星とアスペクトしなければ、口論はずっと続く事を暗示するようです。
「もし月が2凶星のどちらかとアスペクトもしくはコンジャンクションしているのなら、どちらか一方がすぐに死にます。もしくは何らかの不幸に見舞われるでしょう」
急に凄い事が書いてありますが、月が土星、火星のどちらかとアスペクトもしくはコンジャンクションしているのなら、夫婦のどちらかがすぐに死ぬか、事故か事件に遭遇してしまうだろうという、恐ろしい暗示となっています。
「このコンジャンクションが10ハウスか4ハウスで起こっていて、男性サイン在ならば男性側が被害を受けます。女性サインでコンジャンクションしているのなら、女性側が酷い目に遭います」
凶星のどちらかと月が4ハウスか10ハウスで重なっており、それが男性サインで起きているのなら、男性側が被害者となり、女性サインで起こっているのなら、女性側が被害者になるようです。
「月が吉星とセクスタイルもしくはトラインしているのなら、友人たちから何か貰えるでしょう。月が吉星とクォドレイト(スクエア)、死んだ人達から何か貰えるでしょう。」
…そうですね。月が金星か木星と吉角で友人経由で良い事ありそうみたいな?そんな感じでしょうか。凶角だと遺産みたいなものが手に入りそう、みたいな解釈で良いのでしょうか。
「月が吉星とコンジャンクション。自身の努力と精励により幸運を引き寄せられるでしょう」
金星木星のどちらかと月がコンジャンクションで、自分で頑張ろうと努力すれば良い事があるよと、励ましてくれるような暗示ですね。
「月が2凶星のどちらかとアスペクトしているか、8ハウスか12ハウスにあるか、ヴォイド・オブ・コースになっているのなら、自分も相手も両方トラブルに巻き込まれ、悩みや不満が昂じ、病気がちになるでしょう。アングルにあるのならば、離別か長く対立したり、意見が合わなかったりが続くでしょう。」
月が凶星のいずれかとアスペクトするか、8ハウスか12ハウスにあるか、ヴォイドになっているのなら、以下大分最悪な事が書いてありますが、それくらい厳しい暗示という事なのでしょう。アングルハウス1,4,7,10ハウスのいずれかなら、別居するか、そこまでいかなくともあまりうまくはいかないようです。
ありがとうございました。
また来月お会いしましょう。
アルカス