こんにちはアルカスでございます。いつも大変お世話になっております。いつも当ブログへのご訪問ご閲覧、誠にありがとうございます。
当ブログは西洋占星術、という占術の1ジャンル「ホラリー占星術」に特化した、フィーチャー(Feature:特徴とか特集、売り、目玉商品)した記事を毎回掲載しています。
西洋占星術とは、よくネット、朝のテレビ、週刊誌の巻末等で見かける「今週の12星座占いランキング」みたいなの、あれですね。うお座とかふたご座とか、あれがそうです。そうですと言うか最もシンプルな西洋占のスタイルです。生年月日で12の星座のどれに属しているかが決まり、その日、その週、その月、その年などを占うという、あー今日おひつじざ10位だ―とか、私おとめざ1位ーラッキーとかひと盛り上がりあるやつです。
これを「太陽星座占星術」って呼んでいます。
「ホラリー占星術」はこの太陽占星術とは、西洋占星術という大枠の中では同じ仲間ですが、ジャンルは別です。
ホラリー占星術とは、お客様が心の中にある生活上の悩みや問題がこの先、解決されるあるいは希望する方向に向かうか、あるいは諦めざるを得ないかを占星術師に聞いたその年月日時と占星術師のいる場所の緯度経度でチャートを作って読むという占術です。
「気になる物件を見つけたのだが、買ってもいいだろうか」
「次の職場はいつ見つかりますか」
「取引先の言ってる事がどうも信用できないのだが、彼らは正直に伝えているのだろうか」
「ふくらはぎのむくみが気になる。何か大きな病気ですか」
「夫が最近高校時代の元彼女と会っているようなのだが、2人は付き合っているのか」
「彼は私のことが好きですか?それとも私の妹の方が好きですか」
このようなお客様からの具体的なご質問に答えます。
私は、お客様からの真摯なご質問を受け取った瞬間、その時間は魔法がかかっている時間帯と思っておりますので、確信を持ってチャートを立てます。
初めてこの話を聞かれた皆さんにとっては、生年月日を用いない占星術というのはなかなかしっくりこないお話かもしれません。最近、ある西洋占星術のスクールに3年通っているという方とお話しさせていただいたのですが、その方も全くホラリーについてはご存じ無いようでした。「なんか違う世界もあるんですねえ」と全く興味を惹かれない体で帰って行かれました。
このように未だ広い認知を得られていないと言いますか、一般への浸透はまだまだと感じる、マイナーなジャンルなのです。数年前よりはずっと知られるようにはなりましたが。
私はこのホラリーを1人でも多くの人に、少しでも知っていただきたい思いで、連載を続けてきました。どうやらあと数回になりそうですが、全力でお伝えしてきたいと思っております。
なんでホラリー占星術に拘っているのかといいますと
1. 単純に、具体的な質問に答えられる占星術を面白いと感じたから(ネイタル占星術で具体的な質問に答えるやり方を知らないので)
2.当たるホラリー占星術で一世を風靡した人がいるから
がその理由です。
2の人物とは…はい、17世紀英国の大占星術師ウィリアム・リリー(William Lilly グレゴリオ暦1602年5月11日-1681年6月9日)です。イングランド内戦で議会派にアドヴァイスし、勝利を予言した人物として知られています。また敗れてカリスブルック城に幽閉された国王チャールズ1世を救出しようと、独房の鉄格子でも切れる特注の弓のこを秘密裏に送り、脱出に最適な時間を伝えたという逸話も残っています。
このブログはリリー先生が1647年に著した古典占星術の教科書「クリスチャン・アストロロジー(Christian astrology, 以下CAと略します)」 P302 15行目よりP319 28行目までの第49章 結婚の項を翻訳していくのがメインテーマとなっておりまして、前回まででP313を終え、P314に入ります。
P314
女性は正直で隠し事のない人ですか
(※これは質問者が質問対象者の貞淑さに疑いを持っている場合、有効でしょう)
月が双子サインの最後のフェイス(※双子21度~30度までのフェイスは太陽支配。)にあるのならその女性は処女ではないようで、アセンダントのサインがムーバブル(牡羊、蟹、山羊、天秤)かコモン(乙女、双魚、双子、射手)、あるいはアセンダントのロードもしくは月がムーバブルかコモンサインにあるのなら、処女ではありません。
フェイス(Face)とはデカン(Decan)とも呼ばれ、エッセンシャル・ディグニティ(Essential dignity)という惑星強化証明の1部門です。フェイスは1つのサインを10度づつ3つに区切るもので0-10,11-20,21-30度となります。最後のフェイスとは21度から30度までを指します。
で、この1サイン3枠にはそれぞれ支配星がありまして、最初の10度は木星、中間の10度は火星、最後の10度が太陽となります。よってここでリリー先生が言っている「最後のフェイス」度数は太陽が支配しています。
ホラリ―でここに月があるならcorrupt:堕落している=処女ではないと訳しましたが、先生の見立ては興味深いです。
続いてアセンダントサインがフィクスドサイン以外なら、あるいはアセンダントのロードか月がフィクスドサイン以外なら、処女ではない、と断言されていますが、フィクスドサインは真面目サインで、それ以外は経験済みです的な?感じになってしまうのでしょうかね。なかなかこの読みも面白いと思います。
アセンダントのロードがコンバストされており、ムーバブルサインにあるのなら、女性は騙され、脅されて嫌々売春婦をやらされているでしょう。
月がムーバブルサインにあるけれども、アセンダントのロードがフィクスドサインにあり、アセンダントもフィクスドサインならば、彼女は処女で真面目です。
アセンダントのロードが太陽の傍にあり、牡羊、天秤、山羊、蟹にあるのなら、その女性は脅されて意にそぐわぬ仕事をさせられている…太陽が高圧的で強制力を持つ人物の象徴となりうるということですね。
アセンダントのロードとアセンダントサインがフィクスドならば、月が別のサインにあっても、彼女は処女です…なるほどですね。フィクスドサインは真面目、固い人の暗示というのがとても伝わってきます。
月がアセンダントにあり土星とコンジャンクション。その女性は同意の上ではなく乱暴された経験があります。
ホラリーチャートのアセンダントに月と土星が重なっていたのなら、お相手は不幸な経験を持っている、と。
1ハウスがフィクスドサインで、5ハウスにアセンダントのロードか月があるのなら、あるいは5ハウスのロードが1ハウスにある、あるいはこれらが全て1つのサインでコンジャンクションしているのなら、女性は最近身ごもったか、最近誘われてしたようです。
・1ハウスがフィクスドで、性行為と妊娠の5ハウスにアセンダントのロードか月がある
・5ハウスのロードが1ハウスにある
・アセンダントのロード、月、5ハウスのロードがどこか一つのサインに集合している
このいずれかならばその女性は妊娠しているか、他の男性と関係を持ったようです、との暗示だそうです。
しかしこれらが3度以上分離しているのなら、女性は最近まで自分を脅していた人物から逃れられたか、解放されたようです。
これはアセンダントのロード、月、5ハウスのロード間が3度以上離れており、これからも離れ続ける形になっているのなら、という条件で、今までそういった関係を強要していた人物から、女性は逃れられています、という意味合いでしょうか。
ここまで質問者が交際相手(もしくは友人で親しく、気になる)の女性は処女ですか、という質問に答える為の、ホラリーチャートの見方のようです。
お相手の女性は今まで貞操を守ってきた人なのか、それとも色々あった人なのかを聞きに来た人に対して、チャート上では1ハウスのサインとそのロード、そして月が完全に質問対象人物、つまり女性を表すものと捉えています。
普通のホラリーでは1ハウスと月は質問者自身、になるところ、この相手は、という質問ではチャート上から質問者は消え、その相手1人に絞られたチャートが出てくる、ということなのでしょう。
女性は配偶者以外の誰かと付き合っていますか
(※脚注:これらの判断は、ネガティブな暗示が出た場合、つまり彼女は怪しいと出た場合、判断前の考慮を検討しつつ、注意深く伝えなくてはなりません。)
質問者の象徴としてアセンダント、アセンダントのロード、月、月が分離した惑星をピックアップします。
7ハウスとそのロード、更に月がコンジャンクション接近する惑星を女性の象徴と見做します。
(※the seventh house and his lord, the Planet to whom the moon is joined, are the Signifiers of the woman: )
ここでのアセンダントのロード、1ハウスのロードは質問者、これは夫である必要がありそうです。あるいは奥さんからの夫の浮気関係の質問でも問題なく使えると思います。
お相手の象徴星は7ハウスのロードで大丈夫だと思います。
月と7ハウスのロードがコンジャンクションする何らかの惑星があるかを確認し、もしこれらが2つともアセンダントのロードに接近していき、リセプションがあるか、コンジャンクション接近ならば、女性にやましい所はありません。
月と7ハウスのロードがアセンダントのロードに接近アスペクトするか、コンジャンクションするのなら、奥さんの心も身体も質問者、ご主人の方を向いています、という意味になるようです。
しかしもし7ハウスのロードもしくは月がアセンダントのトリプリシティのロードとコンジャンクション、つまり上昇サインの昼または夜のトリプリシティのロードとコンジャンクション、そして月がアセンダントのロードから分離している場合、彼女は夫の他に愛する人がいるようです。
トリプリシティ(Triplicity)とは前述したエッセンシャル・ディグニティ、惑星強化証明の1つで、このトリプリシティというディグニティはいわゆる火のエレメント、風のエレメント、地のエレメント、水のエレメントはそれぞれに昼夜で支配する惑星が変わりますよ、というものです。
順々に行きましょう。
火のサイン牡羊獅子射手は昼間、太陽が支配します。夜間は木星が支配します。
風のサイン双子天秤水瓶は昼間、土星が支配します。夜間は水星が支配します。
地のサイン牡牛乙女山羊は昼間、金星が支配します。夜間は月が支配します。
水のサイン蟹蠍双魚は昼間、金星が支配します。夜間は火星が支配します。
リリー先生は昼夜のみトリプリシティのロードを認めています。
現在古典占星術の研究および実践者は1世紀ごろギリシャで活動したといわれる占星術師シドンのドロセウス(Dorotheus of sidon)が使用していた提携ルーラー(でいいのかな?PartnerとかParticipateとか書いてある)なる惑星をもう1つ加える型のを採用されている方が増えてきた様です。つまり1エレメントにつき3つのトリプリシティ惑星が存在する事になります。
この本はリリー先生の本ですので、そのまま1エレメント2惑星式のでこの暗示を読んでいくのが正しいのかなと思います。
ですので例えばチャートが獅子サイン上昇で、水瓶7ハウス。7ハウスのロード土星がアセンダントのロード太陽ではなく、火のサイン夜のトリプリシティルーラー木星とコンジャンクションしており、月が太陽から離れているのなら、その女性はご主人以外に付き合っている人がいる、ということになるようです。
7ハウスのロードがヴォイドならば、女性にそのような人はいません。
7ハウスのロードが特にどの惑星ともコンジャンクションしていないのなら、不倫はしていません、ということですね。
P315
7ハウスのロードか月か、その両方がアセンダントのロードを除く他の惑星から分離、そしてその分離度数が3度以上でなければ、女性には他に好きな人がいました。しかし現在別れています。
3度という分離度数が結構大きい要素のようです。それ以上ならば気にしなくてよいが、3度内に7ハウスのロードか月が、アセンダントのロード以外の惑星から分離しているのなら、奥さんを表す星が分離した惑星は以前付き合っていた人、ということになるそうです。なるほど。
7ハウスのロードがドラゴンヘッドと合。ロードが他の惑星とコンジャンクションしていないのなら、女性は清廉潔白です。その後、彼女は非難されるに値するし、過去にもそうだったし、今後もそうなるでしょう。なぜなら、彼女は行動に出ていなくとも、その欲望と情念に飲まれているからです。(the Lord of the seventh with the head of the Dragon, the Woman is blameless, without he be in conjunct with some other planet, then she is worthy to be blamed now, was also in times past, and in times to come will be; for if she be not faulty in act,she is in her desires and affections. )
7ハウスの支配星がドラゴンヘッドと重なっているのなら、その女性は清廉潔白です。他の惑星とのコンジャンクションが無ければ。その後まもなくして、彼女は非難されるでしょうし、過去もそうでしたし、未来も相変わらずでしょう。彼女は行動にこそ出してませんが、既にその気に満ちているからです。。。ってこの訳でいいのかなあ…なんか私ごときの手に負えません。。ん~~この行に限っては、元ネタがあるかどうか調べてみます。
7ハウスのロードもしくは月が火星とコンジャンクション。もしドラゴンテイルもそこにあるのなら、その女性には好きな人がいるようで、彼女の仲間を利用しているようです(※ it seems the woman has a sweetheart whom she loves, and that uses her company:)。
彼女は好きな人がいて、友人を色々利用して浮気隠ししている?みたいな意味でしょうか。
もし火星がドラゴンテイルとコンジャンクション、そして前述のように7ハウスのロードともコンジャンクションしていれば、凶兆は薄れ、女性はある粗野な男を愛するようになります。が、彼は彼女を完全に自分のものにすることが出来ず、彼女は強く迫られ、説得される事になるでしょう。
7ハウスのロードと火星とドラゴンテイルがコンジャンクションしているのなら、(火星の)凶兆は薄まり、女性は男らしい男性を愛するでしょう。が男性はこの女性をモノに出来ず、焦ってぐいぐい迫ってくるでしょう。みたいな感じでしょうか。
非常に難しい文章が続きますね。リリー先生実践で本当にこれらのルール全部チェックしていったんだろか?(笑)今月はこれくらいにしておきますか。315ページの13行目まで来ました。次回、続きは14行目からです。
続きまして
「Considerations before Judgement(判断前の考慮)」
のコーナーです。
判断前の考慮とは何でしょうか?
「さて、先に示したように、チャートを立て、その中に惑星を配置した後、あなたが何らかの質問に対して判断を下す前に、ある事柄を慎重に検討する必要があるでしょう、それによって誤りが生じないようにするためです。(クロード・ダリオ(Claude Dariot 1533-1594)著「A brief & most easie introduction to the judgement of the stars」19章)」
はい、私その30からこのお話をずっと続けてきまして、今回に至っている訳なのですが、出来ましたら30,31,32,33,34,35までの連載分を読んでいただけると嬉しいです。お客様からのご質問の中には、内容をそのまま受け取れないものもある、と昔の占星術師達は伝えています。例えば
・お客様が占い師を試そうとか、からかおうとするのが目的の場合
・お客様が質問事項に関し事実誤認か、勘違いをしている場合
です。
(※私はこの項に・お客様がいくつもの錯綜する大きな問題を抱えている場合、を付け加えても良いと思います)
で、このような場合、その複雑さはチャートに現れるものだと、先達たちは述べています。
ウィリアム・リリーはCA P121よりConsiderations before Judgement(判断前の考慮)において、チェックしなくてはいけない12項目を挙げています。
で、私が今までご紹介してきたのは
1. アセンダントのロードと時間のロードは何らか一致している必要。
2および3. 上昇度数が浅い、もしくは深いと判断はし辛い。
4. 月がサインの後半度数、特に双子山羊蠍サインにあるなら、判断は難しい。
この4はモーリス・マッカーンによると「リリーの発明である可能性が高い」(What’s to Consider? by Maurice McCannより)ということでしたが、前回ご紹介したロバート・ベイリー(Robert Bailey)氏の論文
「The Roots of the Considerations before Judgement」
とてもとても細かく、リリーの12の考慮のネタ元を追い、更にそのネタ元の著者は一体どこからその話を仕入れたのか、まさにルーツとなった著書・著者を辿りまくった研究論文です。私、訳していてちょっと感動したほどですが、ロバート氏の研究によりますと、9世紀アラビアの占星術師サール・イブン・ビシャー(Sahl ibn bishr:ヨーロッパではZahelの名で知られる)、彼の著書「The introduction to the science of the judgments of the stars」のBook1 introduction 24がネタ元なのではないかと書かれています。
私サールの本は大体持っておりますので、早速The introductionを本棚から取り出し、24ページを見ますと「月の欠陥(The defect of the moon)」と題された項目があります。
月の欠陥とは
「月の欠損と、月自身の悪い状態により、あらゆる質問、あらゆるタイミングにおいて、物事の不利益がもたらされます。これには10の形があります。」
と前書きがあり
「6つ目は月が自身のドミサイルから12番目のサイン双子にあること。あるいはサイン度数の最も後半にあること。これは凶星のターム域です」と書かれています
この一文を見たリリーが自身のConsiderations before Judgementに多少の改良を加えて採用した…つまり月を衰弱させるサイン蠍、山羊を加えて、月が凶星のターム度数にあり、双子山羊蠍のいずれかにあると、他の惑星はどうあれ、先行きの不安感を月が告げているように見えるので、判断はなかなか難しい、としたのではないかと思われます。
今月は長くなりました。
お付き合いいただきありがとうございます。
また来月遊びに来てください。
アルカス