こんにちはアルカスです。
いつも大変お世話になっております。
朝鮮民主主義人民共和国、日本では「北朝鮮」と呼ばれている国(本稿では以下「共和国」と記します)の最高指導者・金正恩氏のネイタルチャートにつきまして、いくつか述べさせていただく連載記事を始めさせていただきます。
但し大変難しい問題を含みつつの作業になります。とりわけ一番の問題は共和国が指導者の生年月日その他のプライベート情報を公表していない点です。
よって基本的には金正恩氏がいつ、どこで、何時何分に生まれたか、はっきりした事は分かっていません。
大韓民国、通称韓国の国家行政機関・統一部が今年の1月24日に発表した、共和国の主要人物リストにある金正恩氏の生年月日は1984年1月8日となっています。これは前回、2015年12月に発表されたデータと変わっていません。
世界中の占術家達は一般的に、氏の運勢を読もうと試みる場合、このデータを用います。
しかし1983年説を唱える人もいます。金正恩氏の父であり朝鮮民主主義人民共和国を建国した金日成の長男・跡継ぎとして、1994年から2011年まで共和国の最高権力者だった金正日。彼の専属料理人だった日本人調理師・藤本健二(仮名)氏は身近で正恩氏を見てきた貴重な証言者の一人です。
藤本氏が2010年、中央公論新社から出した著書「北の後継者 キム・ジョンウン」によりますと、1993年のある日、食事を終えた金正日が家族を前に干支の話を始めたそうです。高英姫夫人に「お前は1950年生まれだから寅だな」、次男・金正哲氏に「1980年だから申だ」、三男・正恩氏に「1983年だからメテジ(亥)だな」と話したので、傍にいた藤本氏は初めてご家族の生年が分かった、と記しています。
また1992年の1月8日、正恩氏の誕生日パーティーが催された時、出席者が一斉に発したお祝いの言葉が「本日はご誕生から9年になるのを心からお祝い申し上げます」だったとも記しており、少なくとも金ファミリーや政府幹部の間では正恩氏が1983年生まれだと認識されている様子が伺えます。
この件に関しては朝鮮半島研究で知られる日本人学者・李相哲氏が、共和国では生年は太陰暦を用いているので、正恩氏の陰暦の誕生日1983年(癸亥)12月6日は太陽暦では1984年1月8日になると指摘しています。よって83年ではなく84年が正しいとの事で、おそらくこの情報が1984年誕生説の根拠と言うか基礎になっていると思われます。
アメリカの国務省も2016年、人権侵害の制裁対象リストにおいて金正恩氏の生年月日を「1984年1月8日」と明記しました。
正恩氏の叔母(実母の妹)で米国に亡命している高英淑氏も2016年5月、ワシントン・ポスト紙とのインタビューの際、金正恩氏は自分の長男と同じ年に生まれたので1984年生まれで間違いないと述べています。
僕もこの1984年1月8日生まれ説に則り、チャートを立てていくことにします。
生まれた場所は平壌市江東郡香木里と言われています。
次に生まれた時間がいつかを調べなくてはなりません。イギリスの占星術師ビクター・オリバー氏のウェブサイトに「金正恩はいつ生まれたのか」という記事があります。ここでビクター氏は朝7時説を唱えています。理由は高英姫夫人が正恩氏を生んだ時「息子はモーニングスターキングだ」と呟いたらしく、それは夫人が出産時に部屋の窓から夜明け前の金星、いわゆる明けの明星が輝いていたのが印象的だったのだろうという所から察するに、早朝の生まれではないかとする内容です。
1984年1月8日7時近辺の平壌は太陽が昇る前に、金星が東の空を上昇している明けの明星状態になっていますので、もし夫人がそう言ったとする情報が正しければ、おおよそこの時刻に生まれたと見ていいかもしれません。
僕は7時前後に正恩氏が生まれたとするならば、6時58分ではないかと推測します。
父親が亡くなり権力移譲が行われた2011年の暮れは氏にとって、そして共和国にとっても大きな転換点であり、ネイタルチャートにその時期、ポイントとなる重要な暗示が挙げられる必要があるからです。
僕なりのレクティファイで2011年末に大きな動きがあるチャートを作るなら、それは6時58分と見ました。
金正恩氏の生年月日時 1984年1月8日6:58 平壌
再三確認させていただきますが、共和国の公式発表のデータではありません。周辺にいた人たちの証言および韓国、アメリカの行政機関発表によるものが、より信憑性が高いと踏んでいるだけで、真実のデータかどうかは不明です。
時間については「お母さんがそう言った、らしい」という伝聞的な情報しか頼る要素が見つかりませんでした。
あやふやなものであることは否めません。
よって上記の生年月日時だった場合と仮定し、この人はどのような人物かを西洋占星術によって読んでいくのが、本稿の趣旨です。
特徴的な惑星の配置は敬愛するアル・ビールーニー、ウィリアム・リリー、ファーミカス・マテルヌス、ジョン・ガドブリーらの著書より、説明されている個所を(自分なりに噛み砕いて)紹介します。
恒星に関してはヴィヴィアン・E・ロブソン、エバーティン。ビゴーらの著書を参考にします。
とは言ってもまあ仮定のチャートで時間はあやふやですので、軽い読み物くらいに思っていただけるのが一番嬉しいです。
では次回よりチャートの説明に入ります。
アルカス