こんにちはアルカスです。いつも大変お世話になっております。
いつも私の記事をご覧いただき誠にありがとうございます。
何だか遅い更新になってしまって申し訳ありません。 今後もうちょっとピッチを上げてまいりますのでご容赦を。
17世紀イギリスが生んだ偉大な西洋占星術師・ウィリアム・リリーの名著「クリスチャン・アストロロジー」から、35ある例題ホラリーチャートの中でも人気の一枚、今でもこのチャートを題材にしたweb記事をよく見かけます「盗まれた魚/Fish Stolen」を、本稿でも取り上げさせていただいております。
このチャートの主人公/質問者はウィリアム・リリー本人。1637年の暮れ、翌年のレント用に買っておいたお魚が、レントの始まりの翌38年2月10日(これは当時使用されていたユリウス暦によるもの。現在使われているグレゴリオ暦では10日プラスされて2月20日)、漁師さんに届けてもらう手筈になっていたのですが、あにはからんや当日来たのは手ぶらの漁師さん一行。昨夜倉庫に泥棒が入っておたくの魚は盗まれたとの事。ふざけんなーー!と怒鳴りつける前にホラリーチャートを立てたリリーさんはさすがプロの占星術師。およそ10年後に出版される著書「クリスチャン・アストロロジー」で紹介し、380年後の現代に至って世界中の占星術師たちの研究材料になるとは思いもよらなかったでしょうが、彼の冷静なチャート解説はその裏に、絶対見つけてやる盗ってった奴ただじゃ済まさねえぞこのやろ的情熱がふつふつ煮えたぎる、当時のリアリティと緊迫感溢れるものとなっています。
「買った魚は今どこ?ちゃんと戻ってくる?」
1638.2.10 8:45
今回は前置きその2、ということでチャート解読前の予備知識と申しますか、
そもそも「レント用の魚」とは何なのか、「レント」とは?
私、はっきり言ってこのチャートに出会ってレントという言葉と意味を初めて知りました。
辞書を引くとlent=四旬節と書いてあります。 四旬節とは?謝肉祭と復活祭の間の特別な期間? 時期のようですね。
私の母と祖母はそっち方面の学校を出ているのですが、私自身はキリスト教関係と全く無縁で、そんな話をついぞ聞くこともなく生きてまいりましたので、四旬節やらイースターやらちんぷんかんぷんです。
しかしどうやらリリーがチャートを立てるところを見ると、四旬節に年末から予約しといたお魚を食べるのは、その時代のマストのようです。 今回はその辺の話をさせていただきたいと思います。
ネットから色々調べてみました。宗教関連の情報は出してくれる人がとても多いので助かります。
いただいた情報を簡単にまとめましょう。
Q:四旬節とは。
A:復活祭までの準備期間。40日+日曜6回=46日間。
Q:四旬節の間、信徒はどうやって過ごす。
A:基本は断食。祈り。慈善。
Q:40日間断食?
A:そう。
Q:できるわけねえだろ。
A:イエスさんはやりました。
Q:勘弁してください。みんな仕事や学校があるんです。
A:肉と卵、乳製品はダメですが魚はOKとしましょう。
ということで中世ヨーロッパではお魚、特にイギリスではニシンやタラが豊富で安価に出回り、四旬節期間の最高にして、(毎回食卓に出るので)うんざりする食べ物だったようです。大体塩漬けか燻製で売られ、秋から年末くらいがより安かったので、各家庭はその時期に大量に買い込んだそうです。
元はイースターに洗礼を受ける求道者の準備期間として設定され、断食や一日一食など厳しい決まりがありました。4世紀にキリスト教がローマで認められてからは、全信徒にこの期間を祈りと償いの為の節制の時期と捉えるよう、教会が勧めるようになったようです。
とはいえ時代と共に、縛りが緩くなってくるのは洋の東西を問いません。リリーさんが生きた17世紀には食事制限は四旬節の最初の日と最後の日、後水曜と金曜くらいでいいか、な感じになっていたようですね。
おそらくリリーさんが買ったお魚、ニシンかタラは四旬節の最初の日である灰の水曜日に食べるために買ったのでしょう。ポルトガル玉ねぎも一緒に買い込んでますので、マリネか南蛮漬けでも作るつもりだったか。
その魚が、届けられる予定の魚が、約束の土曜に来るかと思ったら倉庫から盗まれたと。
リリー先生腕の見せ所です。 彼が出したホラリーチャートの解説は次回より、じわじわっとお送りいたします。
アルカス