こんにちはアルカスです。いつも大変お世話になっております。いつも私の記事をご覧いただき感謝しております。ありがとうございます。
17世紀イギリスが生んだ偉大な西洋占星術師ウィリアム・リリーが書いた古典占星術の名著「クリスチャン・アストロロジー」(1647年初版)より、彼自身が手掛けた35ある例題ホラリーチャートの中でも人気のある「盗まれた魚/Fish Stolen」のチャート解読は第5回、犯人がどのような人物かを推理する過程に入っていきます。どうぞ宜しくお願いします。
盗まれた魚が今どうなっているのか、窃盗犯はどこに住んでいるどのような人物か。被害に遭った占星術師ウィリアム・リリー氏は、以下のチャートからいくつかの星をピックアップしました。
「買った魚は誰がどこに持ち去ったのか」「魚の完全回収は可能か」
1638.2.10 8:45 stolen fish
唯一のアングル在ペレグリン惑星が木星であるため「金持ち、魚倉庫に盗みに入らない。常識的に」と一端この星の可能性を除外したリリーさん。しかしこの星が入っている星座については判断材料の一つに残しました。
・木星蠍サイン在
更に4室にある丸の中に×の記号、これをパート・オブ・フォーチュンもしくはフォルトゥーナと言います。これは惑星ではなく、計算上出てくるポイントのようなものなのですが、かに座の17度24分(「クリスチャン・アストロロジー」では17度30分)にあります。
このポイントを彼は拾いました。
・パート・オブ・フォーチュン蟹サイン在
このパート・オブ・フォーチュンとは一体何かという事なのですが、「クリスチャン・アストロロジー」23章で3ページほど触れています。
その内容を掻い摘みますと、このパートが良いサインにあり良いハウスにある、もしくは吉星との吉角を形成しているのなら、質問者の財産・不動産運は堅実で安定しています(sound and firm)って感じに書いてあります。
経済や資産の問題に関与するポイントらしいんですよね。
リリーがこのポイントを本チャートで重視したのは、パート・オブ・フォーチュンが強まるサイン蟹にあったのも理由の一つかもしれませんし、パート・オブ・フォーチュンのディスポジター月が1室牡牛15度06分(本文では15度03分)と、これまた強い配置にあったからかもしれません。
彼が犯人追跡と盗まれた魚の在処を知る一助として扱ったことは間違いないでしょう。経験から使用すべきと考えたのかもしれません。
因みに「クリスチャン・アストロロジー」の中で盗難関係の暗示・証明の記述はP319からP366まで計48ページ余りにわたるボリュームで、これは結婚・恋愛関係の占断に割いたP302~319の計18ページの約2.7倍の量を誇ります。
なんで当時でも相談数の多かったであろう恋愛結婚関係の占いより、盗難証明の方をより入念に、かつ熱心に取り組んだかにつきましてはまた稿を改めてお話しさせていただきますとして、盗難の証明計48ページの中にパート・オブ・フォーチュンの登場回数は決して多くありません。
最初の方に書かれている家畜関係、鶏や牛や馬などの生きた動物が盗まれた系の証明で散見しますが、あとは僕が調べた限りなのですが、P356からの「返還に関する言い伝え」で二つほど紹介されている他は、これと言ったものは見つかりませんでした。
しかし例題ホラリーチャートでは、特に自ら動かない物に関するチャート鑑定ではパート・オブ・フォーチュンを使っていますので、リリーの経験則という部分もあるのかもしれません。
もう一つ、金運・財運と所有物を表す2室のロード水星の位置も確認しました。
・水星双魚サイン在
蠍・蟹・双魚といずれも水サインに配置された2つの惑星+1つのパートが暗示するのは、犯人が
「海・川を仕事場にしている者」でなくてはならず、
私の魚は
「湿気の多い場所か一段低い部屋にあります」
「なぜならパート・オブ・フォーチュンは蟹にあり、月は地のサイン牡牛にあるから」
と文中で言いきりましたリリーさん。
サインは驚くほど正確に「場所」を伝えてくれるようです。
僕も何度となく、失くし物を発見した時にサインの示す場所イメージと実際の発見場所との合致に驚いたものですが、重要な要素がほぼ水サインに固まっているのなら、リリー先生も自信を持って周囲に伝えられたと思います。
魚の返還と、海か川で働いているらしい犯人の捜索について、チャート解読は更に続きます。
アルカス