こんにちはアルカスです。いつも大変お世話になっております。いつも私の記事をご覧いただき感謝しております。楽しんでいただけてますでしょうか。そうでしたら嬉しいです。専門用語が大分の頻度で飛び交っております。訳分かんなかったらすみません。僕の講座に来ていただけましたら、いくらでも事細かくご説明いたしますのでぜひご参加のご検討を。とりあえずどうぞ今回も宜しくお願いします。
17世紀イギリスが生んだ偉大な西洋占星術師ウィリアム・リリーの古典占星術の名著「クリスチャン・アストロロジー」から、全35枚の例題ホラリーチャートの中より、人気の一枚「盗まれた魚/Fish Stolen」のチャート解読はゆっくりながら着実に進んでおります。月が水星と60度の角度を取るべく接近中、のお話からこれまたゆっくりさせていただきます第7回です。
「買った魚は誰がどこに持ち去ったのか」「魚の完全回収は可能か」
1638.2.10 8:45 stolen fish
「また盗まれた魚の話もどこかで聞けそうです。月は所有の2室ロード水星とのセクスタイルに接近。この月はフォルトゥーナのレディ。」
リリーが必ず魚を取り戻せると確信している、返還暗示の一節です。「クリスチャン・アストロロジー」356ページ2行目のこの一文をご覧ください。
「月かアセンダントのロードがアセンダントに接近しているか、これらの1つでも2室のロードに接近しているのなら、あるいは月のタームのロードに接近しているのなら失くし物は執念の捜査と取り調べによって取り戻せるでしょう。」
48ページにわたり詳細に書き込まれている、窃盗犯の追跡と盗まれた品の返還の数多ある暗示・証明の中でも、特にイメージしやすい証明です。
ここでの月は、質問者の象徴星とされるアセンダントのロードの代役として使用が可能であると言っているように読めます。つまり月を質問者のサブ星と見做せるということですね。
2室のロード、本チャートでは水星が盗難品を表します。月のタームのロードもまた盗難品を表す象徴星となりますが、本チャートにおける月のタームは木星ですので、ここでは考慮から外れます。
接近とは二つの星が重なるか、60度、90度、もしくは120度の角度を作る事です。
質問者の星・月と盗難品、つまり盗まれた魚の星・水星が60度の角度を作ろうとしています。月はリリー先生の書き出したチャートでは牡牛サイン15.03度(現代の占星術ソフトAstrologでは15.06度)、水星は双魚サイン18度(同18.12度)。60度は吉角と呼ばれ、多少手は掛かっても願望成就の暗示です。
この2星が角度を作るなら、ぼーっと家にいても見つからないけれど、外に出て必死に捜索すれば見つかるよ、っておそらく本チャートの体験からこのように書き残したのでしょう。
さあ、どうやら魚は見つかりそうな気配です。では完全回収は成るかどうかを見ていきます。
盗まれた魚の星・水星は双魚サインにあります。リリー先生はこの様に記しました。
「無傷で取り戻せる希望はない。2室のロード水星はフォールでデトリメント。でもタームはありフォルトゥーナとトライン。どうやら少しは戻ってくるみたいです。」
水星は本質的に衰弱してしまうサイン・双魚にあります。水星は双魚サインのどこにあってもデトリメントとフォールという二つのネガティブな証明を受けてしまいます。あんまり相性の良くない場所なのです。
著書「クリスチャン・アストロロジー」357ページの8行目
「2室もしくは2室のロードが妨げられているのなら、全てを見つけ取り戻すことはできないでしょう」
hindered(邪魔する、妨害する)という単語は損なわれるという意味にとっていいと思います。2室のロードが何らかの要素により損なわれているのなら、このチャートでは水星が在サインの障りにより弱まっているので、完全回収は出来ないでしょう、という上記証明に当てはまります。
よって水星によって表される「魚」は既にダメージを受けているでしょう。ひょっとしたらもう粗方食べられているかも、みたいな想像も働きそうです。
※因みに水星は太陽のビームス下にあり、逆行モードに入る約2日前ですので、これもアクシデンタルな衰弱証明と言えそうですが、リリーは触れていません。
しかし弱った水星においてもタームのディグニティは持っており、パート・オブ・フォーチュン(フォルトゥーナ)との120度のアスペクトはあるのでいくらかは戻ってくるんじゃないかな、とリリー先生、ポジティブ証明にも目を配ります。
タームは5つあるエッセンシャル・ディグニティの中で4番目に強いディグニティであるとリリー先生は説明しています。双魚サインにおける水星のターム・ディグニティは14度から19.59度までの間です。水星は18度にあるのでタームの強化証明を確保しています。
2室のロードとパート・オブ・フォーチュンの120度の角度については、「クリスチャン・アストロロジー」の中に、証明として書かれている文章は見つかりませんでした。パート・オブ・フォーチュンは蟹サイン17度30分(astrologでは17度34分)。対する水星は18度28分で順行を止め、もと来た道を戻って行きますので、トライン・アスペクトが成立します。
この2点を「いくらかは戻ってくる」証明として、リリー先生は紹介しています。
…なんだか小難しい古典占星術証明の話ばかりになって、訳わかんなかったらごめんなさい。僕の講座にご参加いただけましたら、もういくらでもお話しさせていただきますので、どうぞご検討の程。
引き続きウィリアム・リリー氏による「盗まれた魚」チャート研究は、犯人がどんな人物で、この人に最近何があったか、というところまで語って行きます。
まだまだ続きます。どうぞお付き合いの程。
アルカス